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生きてきた人

友人のお母様が入院されていて今帰省中だという。病状はすぐに良くなるものではなさそうで、頭の片隅にはひょっとしたらという気持ちがあるように見受けられた。そして病室の写真が送られてきた。その写真を見て涙が溢れた。

一度お会いしただけなのでよくは覚えていなかったが、ベッドで微笑むその人は明らかに人生の終着点に今まさにさしかかろうとしている人であった。ホテルの清掃員として働いていたらしい。夫に裏切られ、再婚した夫に嫉妬し、そしてコロナにかかった夫を見送ったその人はここに辿り着くまでにどんなに苦しい悲しい人生を送っただろうか。おそらくそれと同じぐらい楽しい、幸せに満ちた時間も過ごせたのでるだろうが。

自身の父が病床に伏せっているときも思ったことだが、そこにはここまで一生懸命生きてきた誇りが感じられる。だから感動してしまったのだろう。

看病している友人は大変だろうが、一緒に時を過ごすことで幸せだった日々を語り合い、納得して人生を終える手伝いができるのに感謝しているのではないだろうか。

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