伯父の死

数日前に母から伯父の肺炎が悪化して、医者からは後10日ぐらいだろうと言われたらしいことを聞いた。母がお見舞いに行った時はそれほど苦しそうな息はしておらず、まだまだ大丈夫だとは思うが、90歳という年齢を考えるといつ逝っても不思議はないというようなことを言っていた。

母とは歳の離れた伯父であったが、祖母が旅立ってからはたった一人の兄であり妹であったわけではあるが、伯父には兄らしい気遣いをあまりしてもらったことがないという母はさほど辛そうには見えなかった。強がっているふうにも見えなかった。

思えば、伯父は一体どういう人だったのか、どういう人生を歩んだのか?私にとっての伯父の記憶は、手先が器用、鉄道のミニチュアマニア、自分の世界を持っている、私が顔を見せると「どんなんや?」とは聞いてくれるものの、後は自分の話ばかりしている人、という印象があった。伯父の狭い世界には何があったんだろう?一日中テレビの前に座って、何もせず、でもボケもせずに90まで生きた。

悲しいのは、伯父の容体が悪くなっている、いくばくもない命だ、亡くなった、というのを聞いても、少しも悲しくならなかった。それほど、私は伯父から愛情をもらってなかったのか?伯父の愛情表現が下手だったのか?


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