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バリアフリーチャレンジの未来

前回のブログでは、バリアフリーチャレンジの島本さんへのインタビュー前編として、「バリアフリーチャレンジの歴史」をお伺いしました。
後編は、現在の活動への想いや、未来のビジョンなどのお話しを伺っています。

最後まで読んでいただけたら嬉しいです。

小山:助成金の申請で「知らないことで生まれる壁」について問題意識を持っておられると書かれていましたね。改めてになるかもしれませんが、なぜこの問題に取り組んでおられるのですか?

島本:私の場合には車椅子に乗っているということもあり、「障がい」がわかりやすい。いわゆる隠せない「障がい」ですね。他の人から見ても、「こういうことに困るんだろうな」と比較的想像しやすいと思います。

ただ、手出しをすることによって責任を追わないといけないと関わることをためらうかもしれません。想像の及ばないことについては知らないのと同じ。それにより、壁が生じる経験をしてきて、そんなバリアはない方がいいと思ったので、自分の関係している障がいのことを事業として立ち上げてやってみました。

知らないと、どう配慮したらいいのかなと思う場面がある。

他方で知らないことで、過剰に介入してしまい本人の能力が発揮される機会を奪ってしまい、新たな障がいを創り出してしまうこともある。子どもの教育も多分同じですよね。手出しすることで芽を摘み取ってしまうというか。そこを当事者発の情報で適正化したい。

情報自体は溢れています。情報発信する立場としては難しい部分です。信頼される情報であるということに対しては、細心の注意を払う必要があります。

例えば、一般論を引用する場合は、法律の条文から持ってくる、一次情報を取得するように心がけています。あとは、個人の経験談を大切にする。経験はオリジナルでこう思ったという部分に嘘はありませんから。

なぜバリアはなくならないのか?

小山:現状の社会の中で島本さんが取り組んでいるこの問題が解決されないのはなぜだと思いますか?

島本:知らないことを知るということは楽しいと私個人は考えています。でも、それが重視されないご時世なのかもしれません。自分が一番大切で、他人に関心がないのかな。

個人的な価値観では、まわりと繋がるほうがいいと思っています。最低限周りに気を使うというのはマナーのレベルではないでしょうか。

自分が他者に関心をもってよかったという体験をしたら変わっていくと思うのですが、そういう場があまりないですね。

今の若い人たちはどういうことを思っているのか知りたいと思っています。私のような40代の人間が経験に基づいて新しいことをしていくことも大切ですが、若い人が主体になってやっていくことはもっと大切だと思います。私は自身新たなチャレンジはしつつ、バトンを渡す、引き継いでいくということは40を越えてずっと考えています。

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Giftの助成金の申請により起きた変化

小山:今回はGiftの助成金事業に応募してくださったということでインタビューをさせていただいているのですが、Giftの助成金は他の助成金とは異なり、かなりの分量の申請書を結構な熱量で書く必要があり、さらに一回提出した後も記入したことに対してさらに深い質問が返ってくるということで挫折される方も多いなか、島本さん自身が応募して助成金の申請書を書いてみて、受給するまでの想いや感想などがあればお聞かせいただけますか。

島本:ストレートに言いますが、助成金を獲得するのが当然第一目的です(笑)。でも、申請書を完成させるまでに、けっこう深いところまで対応しなくてはならなかったのですが、作成を通じて自分が今後やっていきたいことがクリアになりました。

ですので、受給を受ける以上に申請書を書くことに価値があったと思っています。一旦提出した後の再質問が、けっこうしんどかったです。「まだ書くの?」とは思いましたけど(苦笑)

既に応援してくれている人と見込みのある人に、この助成金の申請書の内容をまとめて寄付を募ったのですが、かなりの確率で出資してくれました。概算で7万くらいですね。

ライターチームの結成により起きた変化

小山:今まで一人で活動をされて、ブログ等の記事を書かれていたのをあえてライターチームをつくられたのはどういう理由からですか?

島本:今までインタビューした人や一緒にやってみたいと思う人に、こちらから声をかけてお願いしました。

まず、現実的な理由として、昨年からサラリーマンとして私が社会復帰してから私が活動のために確保できる時間が減ったけど、活動としての情報発信量は減らさないという思いを実現するための仕組みとして、チームを作りました。その中で目指す方向として情報の幅を広げたいと思っています。

各自が表現したいことを書いてもらって送り出していきたいと思っています。チームメンバーから要望が出たら丁寧に応えていこうと思っています。

それぞれの領域が自分とは違うし、生きてきた背景が違うので私自身が上がってくる記事を読んでいると、手前味噌になりますが、一読者としてもおもしろいです。

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そして、未来に向けての想い…

小山:最後に、これからどのように活動を進めていきたいと思っていますか?

島本:続けること自体を目的にはしたくないです。現実的に難しいと判断したら、停止もあり得ます。短期的にライターチームによる情報発信が回り始めたて安定的に記事が出るようになりました。

今後はGiftの助成金の使途として明記した「ライターの報酬」を増やしていきたいと思っています。また、ネット上だけでなく、多彩な情報発信や、多様な人が出会える場作りも考えています。

今はホームページがあるだけなので、リアルな場面でイベントをやっていきたいですね。今企画している具体的なことは、2020年11月1日に、障がい者になって20年の節目を迎えるので、成人式としてイベントをします(あったらいいなでなく、予定として義務化するために言い切ります)。大規模なものはしません。来てもらった中で、参加者同士が終了後になにか繋がりを持って帰れる場にしたいからです。

ライターチームそれぞれの強みを活かして、リアルなイベントでも強みの部分を出していただくような、各ライターを前に押し出すイベントをやっていきたいです。

活動的なことをしているライターとは互いの活動の相乗効果を狙いたいですね。


小山:障がいを持っている人にとってどのような社会になることを目指していますか?

島本:それぞれが物語を語る(自分のことを語る)ことができる社会だと良いですね。そのことができるようになるためには、生きている限り人がもっと考えるようにならなくてはいけないと思います。個人的には常に真剣に悩んでいる人の比率が高い世の中だと良いと思います。

シンドイかもしれないけれど、自分のことを知り、他者のことを考え、それが常識というような温度感の世の中になっていくといいですね。私自身こういうことを考えていますというと、多分「面倒な人」と思われるでしょう。そこを超えて熱を伝導したいとなればシンプルですが、それを正しいとして、思考停止したくないので、常に「そうするのはなぜ?」と自分に問いかけているのが現状です。

世の中、白黒分かれることばっかりじゃないし、ソーシャルと言われるようなことをやって、善人面して満足するだけでは終われないと思っています。

「多様性」とか印籠になるような言葉を多用しないように最近は気をつけています。人の数だけ考えていることがある。そういうことを意識しだすと自分の価値が薄まっていくように感じるので、今、自分がやろうとしていることはどういう意味を持っているのかを追求する。そこは世の人各々が自分の中では強度を保てるはずなので、そこだけですね。


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