魂を実感するために その3 運命を決める頭の上の星

2021年、2月の事です。
稽古に来られている方から施術のお誘いを受けました。その方の施術は「オステオパシー誇張法」というもの。施術法に詳しいわけではなく、予備知識はほぼゼロ、ただ寝転んでいてくれたらいい、という事でお受けしました。

実は、私は施術を受けるのが苦手です。たくさんの経験をすれば稽古にもなるのでは?と言われますが、苦手は苦手(笑)、一人稽古でいいや、と基本的に誘われても遠慮しています。
それは施術されている身体を味わう事よりも、してくれている人の気持ちが気になって仕方がないのです。
ただ、それは私が優しい、とかではなく、施術をしてくれている時、した後、なんと伝えていいのかわからないから。

何をしても身体は受け取り、変化を返します。それは間違いない事。しかし、その変化に気づくのには数日、数か月、数年かかる事も。数年なんてかかったら、もう、原因だってわかりません(笑)。
身体に健康を取り戻したい、みたいな望みもないのでなかなか施術を受ける気持ちが出てきません。

「オステオパシー誇張法」の施術をしてくださった方は稽古に度々参加をしてくれていて、身体の反応も、気心も知れてきて気持ちが楽になっていたからお受けしました。ただ、それでも、2,3回は遠慮した気もしますが押しに負けました(笑)。

もしこの「押し」がなければ、この2月の気づきと出会うのはもっともっと先になっていたかもしれない、今はそう思っています。本当にありがたい事。面倒くさい私の性格に負けずに誘ってくれて感謝しています(笑)。

「オステオパシー誇張法」のタッチは非常に軽いものでした。
ただ寝転び、触れられる。もしかしたら触れていない時もあったかもしれません。それぐらい、軽いものです。
そして、施術中、私は何をしていたかというと、もう、好き勝手にさせてもらっていたのです(笑)。

触れられて嫌な気持ちはありません。
ただ、その時、自分の中に変化が生まれたなら、それに振り回されないように抵抗してみよう、と考えていたのです。実に、けしからん客です(笑)。
パキポキ骨を整えたり、モミモミ筋肉をほぐしたり、スリスリ皮膚を撫でてくれる施術なら抵抗は簡単です。そこに「触覚」が確かにあるのですから。

しかし「オステオパシー誇張法」はただ触れるだけ。触覚によって触れているのはわかりますが、その後、「動き」は見つかりません。
動きが見つからなければ、こちらも動きようがないのです。
もちろん、この時、ぎゅっと筋肉に力を入れ、相手との間に壁を作る事はできますが、それはちょっとカッコ悪い(笑)。やりすぎて動きすぎるとそれを取られ、崩される、それが武術です。

触れているだけのものにどう対応するか、それを考えながらとにかく観察を続けました。
本来ならそれは「心」の領域なのかもしれません。しかし、これは心の領域だ、と決めたらもう終わり。身体はさぼります。とにかく、触覚を手掛かりに身体を探りました。

身体に変化が必ずあるはず。確かに、身体は微妙に変化をしています。ただ、その変化は私の中から生まれているもの、施術者の動きが伝わったものではないのです。
ならば私の変化の元をたどるだけ、それしかできません。

数十分が経った頃、ふと、頭の上に意識が上がります。頭蓋骨、頸骨に触れてくれていたのもあるかもしれません。その時、「頭の上」になにかがある、と気づきました。

1月に見つけた呼吸も使い、探ってもダメだったのですから、もう、呼吸をしてはダメだ、と息も止めて観察をしました。すると、「呼吸をする前」の身体が気になったのです。呼吸は鼻から空気を取り入れます。その空気は基本的に空に広がるもの、頭の上のなにかに気づくのもまぁ、身体的には当然かもしれません。

相手の接触に対して「頭の上のなにか」を動かしてみると、心落ち着くのがわかりました。
相手の行動に対して、こちらがちゃんと反応している、それを感じたのです。その「新しい何か」によって何かが出来ているわけでもありません。こちらはただ施術を受けているだけです。
しかし、納得がある。やれるだけの事はやった、やっている、そんな気持ちが出てきました。

施術が終わり、その日の夜、まぁ、数日のうちに、その「頭の上の何か」は丸い形をして、ずっとある、そして、ずっとあったのだ、と思うようになりました。
その身体感覚がふと、「運命」とつながり、自分の中に「運命を決める星」があるのかもしれない、とガラにもなく、ロマンチックな言葉を思いついてしまったのです(笑)。

「頭の上にある運命を決める星」、こんな事を大真面目に皆に説明していたのですから、今から思うと不思議ですが、その言葉に負けないだけの動きが生まれ、結果が伴いだしていたのだから仕方ありません。

頭の上の星によって何が出来るようになったか。
それはなんといっても「逃げる」事が出来るようになったという事。

少し大勢、数人に囲まれ、そこを何とかする。これがいかに難しいかは少し武道、格闘技をされているならお分かりだと思います。私もそれまではこれは「無理」じゃないか、と練習、研究する事すらありませんでした。

しかし「頭の上の星」に気づき、私、相手、お互いの頭の上にそれを見れるようになり、自然と、その状況を要求し、試していたのです。そして、最初から、逃げられらるようになっていたのです。
頭の上の星をみて、それがぶつからないように、動く。すると、自然と身体はスルリと間を抜けていく事が出来るのです。

その後色々と「頭の上の星」を使う術理は出来ましたが、大切なのは、この時、肉体的な身体から少し離れ、運命を決めるような何かへと意識が広がったと思うのです。
それは1月に呼吸という事に助けられていたのでしょう。呼吸は動作、肉体ではありません。呼吸で身体を満たす事で、肉体的な部分が減った。だからこそ、軽いタッチで触れられた時、肉体ではない何かを求めたのだと思います。

そして、たぶん、これはもう、たぶんですし、私の中で起こった大激変だとおもいますが、この頭の上に意識を置いたことが「めまい」へとつながったのだろう、と考えています。

運命の話ですからもっともっと書きたい事はありますが、これは甲野先生のメルマガに稽古録として寄稿させていただきました。バックナンバー購入できるようです。良ければご覧ください。

風の先、風の跡 Vol.241<稽古録:「飛観法」に大きな展開があった><運命を決める頭の上の星 第1回 寄稿・山口潤>ほか

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