怪我の功名 その6 歩くとは何か

仙骨が消え、骨盤がなくなりました。
とはいえ、触れればちゃんとあります。
ただ、触れられても、その触れられた場所に意識を集めずにいられます。この感覚が「消える」と同じなのかな。

座骨に注目

骨盤が消え、左右の脚が分かれ始めます。
この時、正座をしていたのが良かったのか、座骨に注目する事が出来ました。
座骨に注目してみれば、そこに動きが生まれるのがわかります。
これまでは腸骨に縛られ、動けなかった座骨、腸骨の縛りがなくなり、子供のように動き始めます(笑)。

ペンギン歩き

座骨に動きが生まれてきました。その動きは主に「上下」。
小さな上下の動きが小刻みに現れます。
左右の座骨を交互に、コツコツと動かせば身体は自然と前へと運ばれていきます。

移動量は普通の脚とは比べる事が出来ません。ものすごく短いです。それは当然、構造、形が違います。
しかし、足首、膝、股関節がないのがいいのでしょう。ギュッとつまる感じ、地面とぶつかった時の引っ掛かりがありません。
座骨という短い脚、そしてそれが体幹と直結しています。

ヨタヨタ、ペタペタと歩き、身体の中から喜びが出てきます。
体験した事のない歩き方に興奮します。
ただ、今ならちょっと違う感想が出ます。体験した事のない、と書きましたが、これは子供の頃の歩き方なのだ、と。忘れていただけだと思います。

そして、それは皆、誰しもそう。忘れてしまっている動きです。

自由を歩きで実感する

ペンギン歩きが出てきて、いつものようにその効用を探りました。
正座で向かい合い、手を抑えてもらいます。
お互い動けない中で手を抑えられれば、当然、手を使って何かをしたくなるもの。
そして手を動かせば、その気配はすぐに察知され、止められ、こちらはまたそれに対して反応し、動き、力む事に。

手は確かに反応が早く、動きます。しかし、それは癖。
今、座骨が主役になり、「歩ける」とわかっています。
抑えられても、その手を気にせず、座骨を一歩、前に進めます。

相手はその一歩に気づけず、無防備です。
座骨を一歩、そして反対側の脚をまた一歩。近づき、そしてかわしていくと、結果的に相手は崩れていきます。

一度目、二度目はびっくりして、無抵抗になり、崩れているのかも、と考えます。
そして、こちらはこの崩しを生む原因をちゃんとそのまま伝えます。
座骨で歩いているんですよ、と。

しかし、座骨で歩く、と言っても、相手はそれをやっぱり止められない。
その理由は抑える側が座骨を自覚できていないから。
こちらが座骨で動いた時に生まれる動きは、膝や腰の動きでは合わせる事が出来ないようです。構造が違うから仕方がない事です。

自由を勉強しても仕方がない

足でもなく、つま先でも、踵でも、膝でもなく、股関節でもない。
座骨を意識した事で生まれてきた自由。
自由を求めて、というのではなく、自然と浮かび上がってきた自由があります。

ぶつかって、苦しんで、それを乗り越える。
頭はこんな物語が好きです。
努力が実を結ぶ事で自己肯定感が上がっていきます。

しかし、そこには勝ち負けが必ず付きまといます。
いったん衝突を自覚すれば、それを解決するために「何か」をしなくてはいけない。
この時、手がよく働くのです。

手が働けば脳へと刺激はわたります。
結果的に脳は大きくなって、より大きな世界を手に入れられます。
これを私は「いい事」だと思っていました。

しかし、座骨が動くようになり、今、考え方は変わりました。
そもそもが自由だったのだ、と。

自由だったのにも関わらず、座骨を仙骨によって骨盤として固めた事で、自らが不自由を作り出したのだ、と思うようになりました。
なんというマッチポンプ!

座骨で歩く事、今週土曜日久しぶりの川崎稽古に行きます。
そこでまず、一番に伝えたいのがこの「座骨」の感覚です。
歩くという事を根本からガラリと変わります。
お楽しみに!

【稽古予定】参加受付中
【不定期稽古】
7/23 川崎稽古
7/30 甲野善紀先生名古屋稽古
9/11 つくば稽古


【定期稽古】
7/21 瀬戸ヒーリング
7/27 名古屋、大垣

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