設定だけつくって没にした話

本の中の世界に行ったら外の世界の人間からはメタ視点で物語を見ることができた、という話



主人公
 大罪者という人間たちを倒すため、この世界に呼び出された。裏通りにある怪しげな本屋で手に取った本〝ローリングサーガ〟の中に落ちる。現代日本で高校生してた。
 スキル:
〝鋼玉の眼《コランダム》〟
 熟語に好きなルビをふることができる。二字熟語にしかかけられない。一日三度の発動が限界。呪文には属性や攻撃方法攻撃範囲などを明記して正々堂々と相手に情報をさらして戦わねばならないが、これを使うことで火炎《アイス》などとふざけたルビを振り相手に属性をミスリードさせることができる。駆け引きにはもってこい。でも何度か使えば当然法則からバレはじめる。

有珠蒔苗《ありすまきな》
 ヒロイン。真っ赤な髪を腰まで垂らしているロリ。召喚された者の旅に同行する役目を担う祈りの巫女。回復魔法の使い手だと言いはっているが呪文の名が〝健康増進《プラシーボ》〟の時点で御察し。よく後ろでチアの格好して応援とかしている。戦闘は参加しない、よく逃げる。
 スキル:
〝補充傭員《テコイレ》〟
 主人公が呼び出された原因である能力。奇跡。大罪者など、外の世界の人間が悪さをした際に倒すための召喚魔法とされる。


・魔法と詠唱と敵設定

〝数力魔法体系《マテマジカ》〟
 転移してきた大罪者・ビジターから見ると詠唱文字数×行数で威力を算出するこの世界の呪文体系。普通の人には「字数が多いほど威力が上がる」程度の認識。
 属性・攻撃範囲・攻撃性質の三つを事細かに明記し文章として読める形で呪文に織り込まねばならない。
 基本的に属性は五行相生・相克の関係性。決まった形式などは特にないので、魔力の扱いさえ学べばあとは呪文は好き勝手に決められる。

〝逆転詠唱《サカヨミ》〟
 逆さ言葉での詠唱を蓄音器に吹きこんでおき、逆再生することで自動的に魔法を発動させるトラップ。逆さ言葉では意味が通らないので魔法は成立しないが、こうすることで使える。

〝一斉詠唱《セイショー》〟
 数人で同じ呪文を同時詠唱することで威力を底上げする技。群衆戦の基本にして奥義だが、ひとりでも失敗すると全員失敗する面倒くささがある。

〝輪還詠唱《リンショー》〟
 呪文途中で最初の属性を克す、もしくは生かす属性を述べることで詠唱中に属性変化させる技法。

〝難読詠唱《ミカイフ》〟
 呪文に難読難解な言葉を用いることで相手が属性や攻撃範囲を読むことを回避する技。

〝重複詠唱《ジュウショー》〟
 同義語をいくつも連ねる技。一斉詠唱ほどではないが威力が上がる。


・大罪者《ビジター》
 外つ国の者たち。本の外の世界からやってきた。メタ視点でこの物語に存在しているため、メタ能力が使える。
 作中の国によって指名手配されているもの、なんとか甘い汁をすすらせてもらおうと擦りよられているもの、立場はそれぞれ。勢力を増しつつあるので討伐をもくろまれている。
 死ぬと現実に強制送還させられる。

〝複製して拡散推奨《レイディアントコピペ》〟
 強欲の欲張吏・比翼とばりの能力。詠唱でも発言でもストックしておける。必要なときに次の行に発動させる。言葉を発するのは発動者ではなくそのコピペ元のセリフを言った人間。プライベートでの問題発言をストックしておいて街中で叫ばせたりできる。

〝空満《ゼロワン》〟
 暴食の断待魔・安喰公子の能力。相手の地の文にスペースキーを連打させ、体感時間を遅くする。自分は通常時間の中で動けるためいくらでも相手を叩ける。相手を遅く自分を速くできるため、自分に絶対の自信を持っている。
 仕掛けてあった落とし穴に落ちて呆気なく敗北。

〝余白の美《ジスーセーゲン》〟
 怠惰の執行漢・宇元了の能力。一行の字数を強制的に十三文字とすることで、行数が増えるぶん互いの魔法の威力が上がる。ノーガード戦法。マゾなんじゃないかと思われたが、単に勝っても負けてもいいから早く勝負を終わらせたいだけ。とくになにもしていなかったが念のために倒される。

〝無声栄華《ゲキジョウデハシズカニ》〟
 憤怒の鬼婦人・小田マリ子の能力。『()』を使うことで発動する無音の詠唱。基本的に詠唱しなきゃいけないこの世界では強力すぎる能力。たまに失敗してひそひそ声になる。静かなる激情。自分で劇を取り仕切っているが批判者は一切許さないという傍若無人の暴虐婦人。

〝潜伏帝《チョメチョメ》〟
 色欲の猥褻類・伏瀬次郎の能力。『○』を使うことで文字を伏せる。卑猥な言葉も叫べるし呪文の内容も伝えたい相手にしか伝わらない。「女の子が歩く道になりたい……」と常々言っている背を丸めた小男。

〝開け傲慢《キー・オブ・マインド》〟
 傲慢の営々王・風雨雷堂の能力。『「」』を使うことで、相手が次に地の文でつぶやくことを強制的に晒しあげる。自分の地の文に使うことで無詠唱呪文のように使うことも可能。同時に相手の言葉をひらく(難読漢字もひらがなに)ので、対処がしやすくなる。後述の艶美とコンビを組む。

〝沈黙は禁なり《シャラップ》〟
 嫉妬の軟禁嬢・疾石艶美の能力。『…』を使うことで強制的に相手を沈黙させる。二個以上同時に偶数個ずつ使わなければ顰蹙を買うので注意。地の文を埋め尽くすことで心を閉ざすことも可能。






総評:
 小説向きじゃないし設定がわかりにくい。セルフ没。

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