松雪泰子さんについて考える(41)映画『at Home』

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*松雪泰子さんについて考える(51)「歌は語れ、セリフは歌え」*

松雪さん出演シーンの充実度:3点(/10点)
作品の面白さ:3点(/10点)
公開年:2015年
視聴方法:FOD
 
※以下、多少のネタバレを含みますが、決定的なオチや結末には触れないようしております。

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<おことわり>
個人的に本作は好きになれませんでしたが、その感想を正直に書いています。この作品のことが好きな方にとっては、気分を害してしまう内容になっていると思いますので、お読みにならないでください。
 
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竹野内豊さんと松雪泰子さんが出ているのに、なんでこんなことになってしまったんだ、というような映画。残念すぎる。
 
空き巣を働いて生計を立てている男(竹野内豊)が、紆余曲折を経て、疑似家族を設ける。夫からの家庭内暴力から逃れた女(松雪泰子)は妻として、ネグレクト・虐待を受けていた子どもたちは3人の兄妹として。そして、生計を立てるために、父の盗みと母の結婚詐欺を家族が支える。
 
設定の奇抜さそのものはいいとしても、物語の進行が雑だと思う。例えば、家庭内暴力から逃れた女が、自殺を図った女子中学生を救うまではいいが、そこからなぜ結婚詐欺になるのか。それしか道がなかったことが説明されていないので、行政やNPOに相談して生活保護なり何なり他の道があるだろうというツッコミが成立してしまう。原作の小説がこのあたりのことをどう描いているのか知らないが、疑問がつきまとう。
 
子どもたちの人間性も疑問。親(疑似)が盗みや詐欺を働くのを何とも思わないのか。良心の呵責は感じないのか。親(実の親)の虐待に苦しんでいた自分を助けてくれた父母(疑似)だから、何でもありと思うのだろうか。それはあまりにも話が飛躍していないか。
 
他にも疑問点をあげればキリがないが、一番おかしいのは、結婚詐欺師である母のポンコツぶり。詐欺の相手の近くで、聞かれてはいけない電話の声を聞かれ、嘘がバレてリンチに遭う。なんじゃそりゃという話。そんな人に詐欺師は務まらない。話の展開が安直すぎる。
 
リンチに遭う母親。松雪さんの痛々しい姿(メイク)は珍しいけれど、誰も松雪さんのこんな姿を見たいと思わないだろう。
 
ここから意外な展開を見せ、過去が描かれ、時間が進み、エンディングシーンへとつながっていくが、結局何が言いたいのかが分からない。「ここは感動的なシーンです」とでも言いたいようなBGMと演出のシーンが流れるが、何をどう受け止めれば感動できるのか、大いに疑問。
 
キリがないので、この辺で擱筆とするが、とにかく残念な作品。竹野内さん・松雪さんだけでなく、國村隼さんまで出てきていて俳優陣は豪華なのに、中身がダメすぎて悲しくなる。
 
ちなみに、この3人は、翌2016年にドラマ『グッドパートナー』で共演。そちらは普通に佳作だった。

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