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松雪泰子さんについて考える(81)映画『この空の花 長岡花火物語』

松雪さん出演シーンの充実度:6点(/10点)
作品の面白さ:6点(/10点)
公開年:2012年
視聴方法:U-NEXT

この作品ほど、どう言っていいか分からない作品は無い。

戦争、空襲、震災。それらにめげることなく平和を祈って打ち上げるのが長岡花火、ということらしい。そうした題材選びと、なんとか後世にこの営みを引き継ぎ、平和について考えて欲しいという真摯な意図はいいと思う。

ただ、映像演出が奇妙すぎる。野暮ったいCGや合成映像、時折その意図を解しかねる字幕テロップ、カメラ目線での語り掛け。意図的にそうしている感もあるが、目的は何だろう。子どもにも分かりやすく?

ネットで感想を見ると、毀誉褒貶が激しい。私と同じようにあまり良いと思えなかった方の感想から、「これぞ大林宣彦監督!傑作!!」のようなものまで振れ幅が大きい。

前衛的なものは決して嫌いでないが、この作品に関してはその前衛ぶりがまさに「前衛ぶり」だけに終始していて、視覚的な美しさやカッコよさに繋がっていない印象。個人的には感動しなかった。

ただ、映画の主題は悪くないし、新潟に原爆の模擬爆弾が投下されていたことなど、初めて知る内容もあって勉強になった。忌憚なく言わせてもらえば、映画としてではなく教材ビデオとしてならしっくりくるかもしれない。教材ビデオにしては出演俳優が豪華すぎるが…。

その豪華な出演陣の中、主演が松雪さん。主演映画は、『余命』(2009年)以来3年ぶりだろうか。本作の後、主演映画は『古都』(2016年)まで4年間空く。

出演シーンは多く、髙嶋政宏さんや柄本明さんらとの共演もあるが、上述したような映像の独特さがあって、あまり集中して観れなかった。

こうした戦争に関する作品や教育のあり方については、所懐の一端を別の記事として投稿したので、もしよろしければそちらもご覧ください。

*このシリーズの記事一覧はこちら*

*松雪泰子さんについて考える(51)「歌は語れ、セリフは歌え」*


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