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現在の物価高・円安についていま僕にわかっていること

前にこんな記事を書きました。
政府と日銀の関係ー誰が2%を求めたのか
前日銀総裁の白川方明さんの『中央銀行』(2018年) という本から、政府と日銀の関係についての記述を抜き出して、僕なりにまとめたものです。

これをまとめることになったきっかけは「なぜ日銀は、確実にインフレが起ころうとしているこの状況で、金利抑制・金融緩和の姿勢を頑なに曲げようとしないのか」という疑問でした。

今年3月の時点で、アメリカではCPIの前年比が+8%以上 (コアCPIで+6%以上) という激しいインフレが起こっていました。ヨーロッパ諸国もほぼ同様です。

一方の日本では、CPI (消費者物価指数) は+1%程度と、それほど変化がありませんでした。これには昨年3月頃に行われた携帯電話料金の大幅値下げも影響していたようですが、その影響がなくなったあとでもCPIは+2%程度でした。

https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html

ただ一方で、3月の日本の企業物価指数を見ると、前年比+9.5%という高い水準になってます。

https://www.boj.or.jp/statistics/pi/cgpi_release/index.htm/

これを見て僕が最初に考えたのは、
「ロシアへの経済制裁の影響で、石油や天然ガスを中心とした輸入品の価格が高騰して企業物価指数が上昇したが、それを日本の企業が消費者価格に転嫁しなかったため、消費者物価指数は上昇しなかった」
というストーリーでした。

しかし企業物価指数を遡って見てみると、ロシアの侵攻よりずっと前、2021年3月頃から、企業物価指数が上昇し続けているのがわかりました。

以下より作成
企業物価指数 ( https://www.boj.or.jp/statistics/pi/cgpi_release/index.htm/ )
CPI = 2020年基準のデータ ( https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200573&tstat=000001150147&cycle=1&tclass1=000001150149&tclass2val=0) 

つまりロシアの侵攻とは関係なく「ここ1年以上のあいだ企業物価はインフレを起こし続けていて、単にそれが消費者価格に転嫁されていなかっただけだった」というストーリーになります。

これについて日経新聞に興味深い記事がありました。

2021年11月の記事ですが、企業物価指数と消費者物価指数の差は、アメリカではほとんど開いていないのに対し、日本ではワニの口のように大きく開いているのだと書かれています。

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この日本特有の (少なくともアメリカとは違う) 現象を、どのように解釈することが適切なのか僕にはわかりません。
日経新聞の記事のように、賃金が上がらないことで、消費者の購買力が高まらず、企業が値上げを断行できないという事情があるのかもしれません。

ただ僕が気になったのは日銀の反応です。
そこで冒頭の「なぜ日銀は、確実にインフレが起ころうとしているこの状況で、金利抑制・金融緩和の姿勢を頑なに曲げようとしないのか」という疑問に戻ってくるわけです。

企業物価指数がこれだけ上昇を続けているのだから、インフレ圧力が高まっていることは日銀の誰もが知っていたはずです。
それでも、少なくとも表向きは、日銀は金融緩和・金利抑制を続け、4月に消費者物価が+2%を超えたあとも「この上昇は一時的なものだ」として、緩和姿勢を崩そうとしません。

インフレがロシア侵攻の影響だと思っていた頃の僕は「一時的なもの」という言葉に納得することができました。
しかし「1年以上あがり続けていた企業物価指数が、消費者物価に反映されている」と考えるなら話は別です。

日銀がいったいなんのために金利上昇を抑えつけているのか、僕にはいまいちわからないんです。
アメリカの中央銀行は利上げを繰り返し、長期金利は3%に達しようとしています。
しかし日銀は「長期国債を0.25%の金利で無制限に買い入れる」という政策によって、強制的に長期金利を0.25%以下に抑えています。

この金利差を利用して「日本で安い金利でお金を調達して、高い金利のアメリカのお金で運用する」という動きが増やされたことが、円安加速の要因のひとつだと僕は考えています。

そうだとすれば、日銀のやってる金利抑制は、円安を加速させ、エネルギーなどの輸入価格を上げ、企業物価指数や消費者物価指数のインフレをますます加速させることにしか繋がらないんじゃないか、というのが今の僕の考えです。

こう考えてしまうのは、僕に不足している知識があるからなのかもしれませんし、どこかで間違った因果関係を想定してしまっているからなのかもしれません。まさか日本経済の守護神たる日銀様が、僕みたいな素人が気づくような愚かな選択をするわけないですからね!!!!!!!!!!!!!!

とはいえ、どう間違っているのかまだ気づけていない状況なので、今後も自分なりに情報を集めていこうと思います。今回の記事が、同じように自分の頭で考えようとしている誰かの役に立つことを願っています。

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