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クルール・プレフェレの話〜クルール・プレフェレ編〜

なしみです。
前回ではついに全員揃うことができました。とうとう完結です。最後までよろしくお願いいたします。

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「わ〜!6人揃ったね〜!」
「本当にすごいです!今までの生活なら考えられなかった……。」

人に見放されボロボロに朽ちていた店は今ではきれいに整備され、客が押し寄せるほどの人気店になり、人々の笑い声で溢れていた。1人では成しきれないことも力を合わせれば見える景色も変わる。店は個々の能力を十分に活かすことができる空間となった。だが、まだ一つ大きな問題を抱えていた。

「本当に申し訳ないんだけど、全員集まっているからこの際に決めたいことがあるんだけどいいかしら。」

視線はヴィオレッタに集まる。全員の注目が自分に向いたことを確認すると話を続ける。

「まだ店名が仮なのよね。この際だから新しく決めないかしら。」
「え、仮なのあれ!?アカウントどうすんの!?」
「少し怪しいと思ったんだよね。皆の店って言いながら店名に”ヴィオレッタ”って付いてるし。」

父親から店を託されてから約2年、開店してもなかなか決まらずついに人気店になっても名前が決まらないままここまで到達してしまった。もはやここまで来たのならいっそのことこのままでも良い気がするが今の店のコンセプトから離れている傾向にある。

「ウチの店は創業者が小豆川さんという人で代々続いてほしいからサロン・ド・ショウズガワだけど、ここは訳が違いますからねえ。」
「わあ、素敵です!このお店も素敵な名前になるといいな……。」

一同、う〜んと唸りながら悩み始める。しばらく時間が経ち、パパンが沈黙を破る。

「色がたくさんあるから……”Couleur Préférée(クルール・プレフェレ)”はどうかな?好きな色を選ぶようにお客さんに好きなスイーツを選ぶワクワクを楽しんでもらいたいな〜。」

一斉におお〜と納得する。

「アナタやっぱりセンスあるじゃない!ワタクシ気に入ったわ。」
「理由もすごくいい!私もパパンちゃんに賛成です。」
「ちょうどみんな色被りないしいいんじゃない?早速アカウント名変えないとね〜。」
「色被りって……でも私も異議はないな。」
「ウチも賛成〜。は〜い反対意見ありませんね。では決定ということで!」
「ちょっとハンナ、ワタクシの役取らないで!ということで今日からこの店は” Couleur Préférée ”よ。覚えたわね。」

翌日早速改名に伴う準備を行なった。書類の提出にアカウント名の変更とお知らせ、一部店舗レイアウトの変更と全ての作業を1日と半分かけて終わらせた。急な案件にも関わらずシュゼットも2日休みを貰って取り掛かってくれた。

そして8/24の午後、ちょうど街の人々がティータイムに入る頃” Couleur Préférée ”として再スタートする準備が整った。

「いいかしら。今日からまた新しく生まれ変わるのよ。準備はいいかしら。」
「もちろんいつでも行けるよ!楽しみだな〜!」
「ウチの店より繁盛してしまいますわ〜。どちらも大切だから困りませんよ。」
「早く開店しようよ!みんな待ってるしアタシも早く動きたい!」
「今日はたくさん作ったから同じく私も早くたくさんの方に食べていただきたいです。」
「じゃあドアを開けるよ。もう行列ができているからね。」

開店と同時に客が次々と店内へ吸い込まれていく。あっという間に店内は笑顔と歓喜で溢れ、たくさんあったはずのスイーツがどんどんなくなっていく。

華やかで気高い紫のヴィオレッタ
明るくキュートなピンクのパパン
伝統的で淑やかな緑のハンナ
力がみなぎる黄色のシトロン
控えめだが才能溢れる青のシャルロ
清らかで真っ直ぐな白のシュゼット

それぞれの色が輝く店を目指して。
「ようこそ、”Couleur Préférée(クルール・プレフェレ)”へ!」