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アンバランス

会社経営とアンバランスについて。

尊敬する先生の著書にこんな言葉がありました。
「アンバランス:成長するときにおこる一時的な現象です。バランスが良くなると会社の成長は止まる」

会計事務所の仕事をしていて、会社の資金繰りや人員・能力を客観的に拝見する仕事をしていると、どうしてもアンバランスな会社の決算書などを見ると、違和感を覚え、不安が生じ、そのようなアドバイスを経営者に伝えることがままあります。

もちろん、結果としてそのアドバイスが正解だったりするのですが、会社を起業して、従業員を雇用し、数千万円の売上から数億円の売上に、数十億円の売上に、100億円を超える売上になるとき、節目節目でやはりアンバランスな状態がどの企業にもあると個人的には思っています。

アンバランスな種類にもいろいろとあって、資金繰り上のアンバランス、人員不足によるアンバランス、事業の種類的なアンバランス、会社の能力としてのアンバランス、経理・総務部門などの管理体制によるアンバランス、などなど様々なアンバランスがあると思います。

まともに公認会計士の仕事をしていると、すぐにバランスしてほしくなります。

この感覚は、人間の本能のようなもので、アンバランスをバランスさせるのは、アンバランスが継続すると、そこからほころびが生じて、組織が崩壊する原因になるため、それを防御する自己防衛本能のようなものだと理解しています。

IPOを目指す会社さんのお手伝いをさせていただく機会が多いのですが、バランスしている会社はありません。目指す時は中小企業に毛が生えた会社が多く、いや、毛も生えていない会社もあります。
ただ、自己防衛本能を上回る思いがあったり、誰も気づいていない会社の成長に対する確信のような考えがあったりするのだろうと思います。

思いますと言ったのは、私自身が自己防衛本能を上回る思いや確信のような発見をまだしていないからです。その気持ちや感覚が正直分かりません。

バランスしてはアンバランスが生じさせ、成長=アンバランス状態と理解した方が早いのだろうという感覚です。

銀行や証券会社、監査法人からすると、非常に厄介な習性だと思います。
ただこの感覚を持っている銀行マンや監査人と出会うと「この人はすごいなぁ」と思います。アンバランスな状態は、彼らの仕事からするとリスク以外何物でもないからです。
でも会社の成長のためにはその状態を支援していくことが彼らの仕事だと思っている。

過度と言われるぐらいにコンプライアンスが叫ばれるこの世の中にあって、組織人として、そのリスクを許容し、会社を支援するという自分の仕事への理解に尊敬の念を覚えます。

自分が組織人だったころを思いますと、自分にはそのような感覚も感じられていなかった。天才っているものですね。

また行きます!!