見出し画像

「この会社、大丈夫かよ?」について

1月から新しい会社に移ったという話を前に書いた。今回はその続きを書いておきたい。

僕は、前の会社では、監査役という仕事をしていた。監査役という職務は、ビジネスに不案内な人には馴染みがない言葉かもしれないが、Wikipediaをそのまま引用すると、<日本の株式会社において、取締役及び会計参与の業務を監査する機関である(会社法第381条1項)。株主総会、取締役(または取締役会)と並ぶ株式会社の機関の一つで、会社経営の業務監査および会計監査によって、違法または著しく不当な職務執行行為がないかどうかを調べ、それがあれば阻止・是正するのが職務である。>というような説明になる。

ざっくりと要約するならば、株主の負託を受けて、取締役が好き勝手なことをやらないように、株主に代わって目を光らせる仕事ということになる。

前の会社の監査役を辞任した経緯については省略する。いろいろとオトナの事情があったわけだが、ちょっとだけ話をするならば、IPOをめざして準備を進めていたのだが、IPOそのものを断念したことで、これ以上、僕が監査役としてやるべき仕事がなくなってしまったというようなところである。特段、僕の仕事ぶりに何か問題があったというわけではない。

で、ご縁があって、同じくIPOをめざしている今回の会社に転職したわけであるが、半月足らず仕事をしてみて、「この会社、大丈夫かいな?」という思いが強くなってきている。

この会社と前の会社を比較するのもどうかと思うが、敢えて比較するならば、いま思えばだが、前の会社はなかなか立派な会社であったと思う。

当社のダメなところについて、思いつくままに書くと、以下のようなところである。

まず、第1にであるが、時間にルーズである。社内の打ち合わせ等で、定刻にきちんと始まったことは皆無である。数分遅れくらいならば、まあ仕方ないとしても、打ち合わせがあることを失念していたり、業務多忙で出席できないといった理由による、スッポカシが多々ある。特に、経営陣(具体的には上の2人)が甚だしい。

忙しくて予定を変更するしかないのであれば、事前にそう言えば良いのである。何も言わずに遅刻したり、すっぽかすのは、仲間に対するリスペクトが欠如しているからである。そんな会社が生産性を上げることは難しい。

第2に、レスポンスが鈍い。上記のような打ち合わせにおいて、定刻になっても集まらないメンバーに、グループチャット(当社はスラックを使っている)でメッセージを送信しても、反応がすぐに来ない。見ているのだか、見ていないのだか不明であるが、とにかくすぐに反応がない。これではグループチャットを使っている意味がない。

第3に、決めたことが徹底されない。皆んなでやろうと決めたことであっても、やる人もいれば、やらない人もいるという状況で、何事も中途半端なのである。

こういうことが起きる原因としては、会社として組織だって動くような仕組みが構築できていないことにある。それぞれのメンバーが、いわば「個人プレイ」をやってしまっている。人に仕事が紐づいている感じである。

で、経営陣が部下に任せきれず、自分自身で抱え込んでいる仕事が多くて、プレイヤーとして忙しがってしまい、管理にまで目が行き届いていないのだ。

どんなに優秀な人でも、カラダは1つだし、1日は24時間しかない。処理能力には自ずから限界がある。特に、経営トップ2名のうち、ナンバー2が機能不全に陥っている。パソコンで言えば、既にフリーズした状態である。彼のところで仕事が停滞しており、業務遂行上のボトルネックになってしまっている。

ナンバー1も、それに気がついていないわけでもないのだが、有効な対応策を講じることができない状態のままである。

僕は前職もスタートアップ企業だったので、スタートアップ企業というものがどういうところか、ある程度は知っているつもりである。

スタートアップ企業というもの、「ヒト、モノ、カネ」の経営資源が大企業ほど揃っていない以上、足らないところは、スピードとフットワークで補うしかない。にもかかわらず、スピード感が乏しいのだ。これでは、どうしようもない。

企業の業績推進面と管理面は、クルマの両輪みたいなものだし、しっかりとした管理があってこそ、業績推進に向けてアクセルを思い切って踏み込めるとも言える。

IPOをめざすスタートアップ企業の場合、業績面と管理面を並行して整えて行くのが理想であるが、現実問題としては、管理面が疎かになるのは仕方がない。管理部門にスタッフが揃っていないからだ。理想としては、管理体制をしっかり整えてからと言いたいところだが、それだと成長のスピードが犠牲になってしまう。

したがって、管理面の拙さには目を瞑りつつ、業績推進にアクセルを踏まざるを得ない。そうでないと、投資家の厳しい時間軸に対応できないからである。

当社の場合、上記のとおり、管理面もボロボロなのに加えて、業績推進面においても仕切れる人材がいないのが致命的なのだ。

一応、経営トップ2名の役割分担では、ナンバー2が業績面を担うことになっているようだが、明らかにそういうキャラではないのだ。

僕が半月ほど見ていた感想であるが、一応、士業だし、地頭は悪くないと思うのだが、外に出て行って、商売をバリバリと仕切るのが得意なタイプではない。どちらかと言うと、社内で地道にデスクワークをしている方が向いていそうなタイプである。

こうした経営陣の役割分担のミスマッチも含めて、会社としての体制がまるで描けていないのが、新しく参画した会社の実態である。もちろん、まだ半月ほどなので、しばらくは引き続き様子を見ていきたいと思っているが、箸にも棒にもかからないと見極めをつけたら、さっさと辞めることも選択肢としてはアリかなと思っている。

僕も、ビジネスマンとしての残り時間がそれほど潤沢にあるわけではないのだ。野球で言えば、キャッチボールもまともにできない連中といつまでもつきあっているわけにはいかない。

3ヶ月と言いたいところだが、1ヶ月も見ていれば、判断するには十分な時間であろう。お互いに早ければ早い方が良い。そう思っている次第である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?