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「国葬」について

元大阪府知事で弁護士の橋下徹が15日、フジテレビの情報番組で、安倍晋三元首相の国葬について以下のように言及している。

<「国葬に関しても岸田さんの判断はやっぱり間違ったと思います」とし、「賛否あることは間違いないです。国葬なんかやる時に政治家の評価っていうのは絶対賛否あるんですけども、そうであれば僕は首相経験者全員を国葬にするって基準を決めてね、僕は安倍さんは国葬に値すると思いますけども、違う首相経験者だったら、いや、この人は国葬どうなんだっていう思いもありますよ。でも、そういうことを抜きにして、もうこれは全員首相経験者は国葬にするっていう基準を決めてからやればね、僕はこういう賛否は関係なかったと思うんですが、その個人個人の業績を見て政府が判断するってことになれば大もめになりますよ」と指摘。>

つまり要約すると、「首相経験者は死んだら全員を国葬にするべきだ」「生前の業績や評価は一切問わない」「なぜならば議論が分かれるからだ」ということになる。

何の法的根拠もないのに、狙撃事件以降の世間の空気みたいなものも背景にあってか、何となく「国葬でいいやん」という流れになってしまっているような気がするが、総理経験者でも国葬の前例は吉田茂まで遡り、安倍晋三で2例目である。吉田茂と安倍晋三の間に何人の総理大臣経験者がいるのかは数えようとも思わないので知らないが、「安倍さんて、そんなに値打ちがあったのかしらん」というのが僕の単純素朴な感想である。安倍さんは在職期間に関しては最長ではあるが、在職期間は短くても、もっと爪痕を残した人物は他にいなかったのであろうか。

たしかに業績で判断するとなれば、いろいろな意見が飛び交って、たぶんまとまらないだろうとは思うが、だからといって、橋下氏が言うように、何も考えずに首相経験者は一律に国葬という話はいかにも乱暴な話である。橋下さんのポケットマネーならばぜんぜん構わないが。

今回の国葬に関する国費の支出は約2.5億円とのことであるが、警備費は含まれない。計上しているのは、会場とか設営とかに関わる直接の費用だけであり、警備に関する人件費等を含めるとヒト桁違ってくるという試算もある。

「何も考えずに首相経験者は一律に国葬」という案があるのならば、その正反対の案、「首相経験者だろうが何だろうが、政治家を国葬にするのは原則やらない」というのも議論されてよいと思うし、むしろこちらの方がスッキリする。国会議員はいろいろな立場や利益の代弁者である。支持者がいれば反対者もいる。首相といえども、国民による直接投票で選ばれたわけでもない。国会の多数派政党が組閣して、たまたま総理大臣になったに過ぎない。アメリカの大統領とは性質が異なる。

各種の世論調査でも、国民の約半数は国葬に反対している。そもそも国民が選んだ首相ではないのだ。民意に対してもっと謙虚になった方がいいと思う。

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