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メロンソーダ


喫茶店に行くと、私は必ずメロンソーダを注文してしまう。コロンとした四角の氷のうえに、まあるいバニラアイス、シロップたっぷりの緑色の不思議なエキス。それだけでも魅力なのに、グラスから滴る雫。水も滴る良いジュース、なんちゃって。メロンソーダを作った人に、ノーベルデザイン賞でも与えたい。そんなものは無いけど。

1口飲めば、パチパチとはじける小さな泡が、舌の上をなぞるように私の痛覚を何度も刺激する。
飲み込むまでの一瞬ですら、炭酸は私の口内をチクチクと刺してくる、見た目と違い攻撃的な飲み物だ。炭酸は嫌いだが、メロンソーダの見た目に騙されて何度も頼んでしまう。
見た目はあざといのに、中身は腹黒いあの子と似ているかもしれない。あの子もメロンソーダもつくづく罪な存在だとクスリと笑みが零れてしまった。

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