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#2 手塚治虫『ブッダ』全巻を読了。

釈迦の一生や人物像について知りたいと思い、史実に基づいて書かれた手塚治虫さんの『ブッダ』を読んでみた。釈迦の大まかな一生について知れたので、そういう目的であればおすすめの一冊。

率直な感想としては「尊いと思っていたお釈迦様も"ひとりの人間"として苦悩していたんだなぁ」と。苦悩した末にさまざまな悟りを開いたから尊い存在なのかも知れないが、苦悩していない人間などいないと思うので苦悩しているという点で親近感が湧いて、雲の上の存在というよりも少し身近な存在に感じることができた。

一番印象的だったのは、釈迦族の滅亡。ブッダは、もともと釈迦族の王子であったが釈迦族の怠惰な暮らしに嫌気がさし、若い頃に出家して国も出ていた。ブッダが悟りを開いてまもなく、コーサラ国王は釈迦族の娘を妃を迎えたいと要請した。しかし、他民族と婚姻しないという伝統を持つ釈迦族は、要請を断ると滅ぼされる可能性があったため、奴隷の侍女を釈迦族の娘と偽り嫁がせた。コーサラ国王とこの奴隷の侍女との間に生まれた王子がのちに釈迦族を恨み滅ぼすことになる。これは調べたところ史実通りのようだった。漫画の中では、ブッダは階級制度自体にも疑問を持っているが、身分を偽って嫁がせたのが釈迦族滅亡の原因であり"滅ぼされる運命"として受け入れていた。

釈迦族の話はスケールの大きな話だが、身近な人間関係でも自分の行いは人間を通して返ってくるものだと思う。身の回りの人間関係を振り返ってみてすごく不思議な発見があった。

それは、話した内容の要点を得ていないなと感じる相手の話はよく聞き逃したりするのに対し、話した内容の要点を得ていると感じる相手の話はよく聞いていて記憶にも残っているのである。

人の話を聴いていない人の話を聴きたいとは思わない。

言葉にしてみると、当たり前な気もする。でも意外と自分もやってしまっているなと反省。大きな災いが来る前に、教訓を肝に銘じて生きていこうと思い直した今日でした。



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