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参議院議員から見る国会議員の質の低下

参院憲法審査会の野党筆頭理事更迭

参議院予算委員会において、予算審議とは全く関係ない出所不明の放送法レクの公文書について質疑し無駄に審議の時間をつぶした参議院議員が更迭された。衆議院憲法審査会が毎週開催される事について、”憲法のことなんか考えないサルがやることだ”と批判した事についての更迭だが、当然だろう。

戦後70年以上、おかしな日本語で書かれた日本国憲法が、憲法解釈によって維持されてきたのが奇跡的で、それが制度疲労を起こし限界を迎えている。それゆえ、一部分の憲法改正でも、前例のないことで、司法行政への影響は大きい。当然、慎重を期すために毎週でも憲法審査会をしなければ、むしろそれでも時間は足りないと本当に憲法学者なのか甚だ疑問である。
それよりも、個人的には一大臣を貶めるような質疑の方も問題と感じる。

委員会とはおよそ関係ない質疑

最近はテレビを見ることもなくなったが、野党が政府与党に対する国会質疑について、特に一部野党の質疑については相手の言葉尻をとったり、質問するに値しないクイズをだしたり、ひどい場合は大臣の人格否定するようなものだったり、およそ開会中の委員会とは関係ないものが多いと思う。普通に考えても、国民の生活が懸かっている法案の審議にそういうものは費やすべきで、そういう質疑は時間の無駄だし、ただの妨害にもなると個人的には思う。今回の参院予算委員会の高市大臣への質疑は、特にひどいものの部類に入ると思うが、懲罰動議の話は出てこない。

懲罰動議と今回の質疑

懲罰動議とは、「主に国会において、不適切な言動により国会の秩序を乱した国会議員について制裁すべきとする議題を提議すること。ならびに、そこで提出・審議される議員懲罰の提議。」と定義されている。

今回の質疑においても、過去の事例からして、適用されるべき事案だと個人的には考えられるので、たしか参議院議員の20名以上の賛同が得られれば発動できるのでやってもらっても良いと思うのだが。
ただそれをやって事例をつくってしまうと、自由闊達な議論が今後できなくなる恐れがある。おそらく、懲罰動議を出さない理由というのはそれもあるかもしれない(しかし、ライブドア永田メール事件の時は懲罰動議は出されていたので、今回出されないのは疑問ではあるが…)。

そもそもスキャンダルを追求する理由

このように、政治家のスキャンダルを国会の中で追及するということは一応は認められているのだが、なぜそれをしているのかという事については、ちゃんとした理由がある。
国会に提出される法案というのは年数本レベルではなく、100本以上にも上る。そして、そのうち委員会で審議される法案は半分ほど。時間も限られている中でこれは何としても審議したいという法案については、当然議席持っている与党の方が力が大きいので、野党が審議したい法案すべてが審議されることはない。では野党が審議したい法案を委員会審議かけたい場合はどうするか?そこで、スキャンダルネタを出して揺さぶりをかけるのである。
こういったスキャンダルネタを委員会で出し、与党に揺さぶりをかける。出された与党側は(出された側の野党も)、国会が紛糾し委員会審議できなくなるのを警戒して、執行部(特に与野党国会対策委員長レベル)で協議が行われ、それで野党側で委員会審議を希望している法案を議論していく。こういったことが水面下で行われて、全体で国会が回っていくものである。

今の批判野党は昔の日本社会党よりも悪い

このような経緯を、実は野党も与党も知っていて動いているはずなのだが(確か記憶では2019年の霞が関官公庁の勉強会時点ではそうなっている)、今の様子を見ていると、野党がただ気に入らない大臣をディスっているだけにしかみえない。
昔の日本社会党は、考え方こそ相いれないが、そこは真剣に国会で闘っていたように見える。今の小選挙区と違い、党の看板よりも各政治家の人間性が試される中選挙区制だったところが大きいと思う。”公務員は全体の奉仕者”と憲法で書いてあっても、やはり地元有権者や支援者の要望を汲み取って、その人たちの生活のために時には闘うこともしてきたように見える(それは与党野党関係ないが。)。
そういう意味においては、党の看板が重視されて1人区で胡坐をかけるいまの小選挙区制でなれている議員と比べると、やはり”人と向き合う”とか”法案を命がけで議論する”といった気概が見えない。
参議院議員は中選挙区制をとってはいるが、党の看板で立候補している非拘束名簿方式で比例の要素を含んでいるので、党の議席をローテーションして回したり”何のために政治家になったのか?”と疑問におもうことを平気でするし、そもそも立場こそ違えど同じように苦労して選挙を戦い当選し国民や支援者の思いを背負ってる者同士としてのお互いに敬意する姿勢が感じられない。そういう意味において特に今の野党議員の方が、昔の日本社会党の議員よりも劣っている。
人を引きずり下ろすだけの不毛な議論するよりも、人の思いを背負って自分がこの場に立っているという誇りを持って、国会議員は職責を全うしてほしいと思う(了)。

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