整形美女
※私が読んだ本の書き出しとざっくりした内容を書き留める読書記録です
はじめの一行
序章
なんとなく妖艶なイメージを抱かせる甲斐子。
舞台設定と言い、表現と言い、どことなく日本の少し古い景色を思い出させるような雰囲気。
そもそも、甲斐子といった名前一つとっても、どこか奇妙。
この独特の空気感をまとったまま、物語が始まっていく。
不思議な書き出し。
本書の内容
整形で入れ替わる?
本書の中心にいるのが、前出の甲斐子と、もう一人の女性である、阿倍子です。
まず、甲斐子は、世で理想的と言えそうな用紙を持っています。パッチリとした目に、高い鼻。バストは豊かで、くびれはしっかりある。しかし、本人はこの用紙に満足をしておらず、結果として整形手術をやらかします。その結果、眼はまめつぶのように小さくなり、ウエストにはシリコンだかなにかを入れてずん胴にしてしまいました。一方、阿倍子は真逆で、社会に出るのと同時に気に入らなかった二重を治し、リフトアップし、バストやウェストもキッチリと実馬援が良くなるように成型した。なんと、モデルは同郷の甲斐子だったのだとか。逆に甲斐子が整形したモデルは阿倍子。
ある意味、整形で入れ替わった二人。
甲斐子は阿倍子の容姿になったものの、「美人ではないけどかわいい」女性になったようで、けっこうモテるのです。目はまめつぶみたいな小さな眼なのに。
本書の少し風変わりな登場人物の名前の多くは、旧約聖書からひかれているそうです。著者によるあとがきでそのことを知りました。
甲斐子はカインだし、阿倍子はアベル。
そのほかにも、聖書にちなんだ登場人物がぞくぞくと出てきます。
また、本書全体を通して、文体がどうも古いというか独特の匂いを放っています。これを読みにくいと感じる人は多いと思いますし、私自身そう思いました。それでも、この文体が醸す独特の世界観は、やっぱりこの小説にはなくてはならないものかもしれないな、と思ったりもしました。
美しさって何だろう
人の美醜というのは不思議なもので、たとえば「目がパッチリしている」というのがいいとされていますが、それって一つの同調圧力なのかもしれない。二重がいいと決めつけているけど果たしてそうなのだろうか。そのあたりが実は何の根拠もなく、特定の状態が良いと流布されているのが美しさに関するキーワード。じゃあ、それがどの程度正しいのかを検証する方法は難しいのですが、この小説はそれにチャレンジしているように思われます。フィクションだからできるお話しには、グイグイと引き込まれて、予測不可能。
好き嫌いはあろうかと思いますが、軽いタッチなのに結構重い作品に感じました。
いやーーー、読書って素晴らしいですね。
ちなみに私はこんな本書いてる人です。
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