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プラージュ

※私が読んだ本の書き出しとざっくりした内容を書き留める読書記録です


はじめの一行

1.貴生の事情

オイ、起きろ、早く逃げろッ―ーー
薄暗い夢の向こうからそんな声が聞こえ、借金取りや警察でもそこまで無遠慮には叩かないだろうというくらいの、強烈なドアノックの連打で目を覚ました。
見慣れたワンルームアパートの天井。傍らに目をやると、ベッドサイドの目覚まし時計は四時ニ十分あたりを示している。けたたましいノックの音は続いていたが、でもこの部屋の玄関ではなかった。隣か、そのまた向こうくらい。

プラージュ(誉田哲也)

この出だし、エキサイティングですね。
私的には一度読んでるはずなのに読み返してみて、え、コレ、どのシーンだっけと思いながらちょっとドキドキしました。
それなりに衝撃的で、けどどこか疑問を残す書き出し。
小説ではそんな形が、読者の心をとらえやすいのかもしれません。

本書の内容

脛に傷を持つ人たちのシェアハウス

主人公の貴生は、覚醒剤使用で捕まり、執行猶予中。
出来心というか、酔った勢いで手を出したたまたまなときに、警察がやってきて捕まった。
執行猶予なのでまたやり直そうとした矢先、冒頭の事件(実は火事)で焼け出され、住む場所もなくなった。
ここから先は、前科者の苦しみが始まる。

といっても深刻な感じではなくって、主人公は一つ一つと向き合い、乗り越えようと頑張るわけです。
そこでたどり着いたのが、今回の舞台となるシェアハウス。
美人の管理人に、ドアもない部屋で男女が暮らす空間。
まあ、この時点で、なんだかファンタジーなのですが、これが意外としっくりきます。

その中で共に暮らす人はみな訳ありで、それでもどこか前向きで、自分の人生を歩もうと頑張っている。

そんな人たちのドラマがこの本には詰まっています。

ついつい読み進めたくなる展開

本書は全体として、さほどスピード感のある展開ではありません。
むしろどこかゆったりとしたホームドラマ的な展開。
しかし、一度読み始めると次が読みたくなって仕方がありません。

私が感じているのは、小説には二タイプあって、
1つは結構いろんな話をくどくど詰め込んで、読むのが苦痛なんだけど、あるポイントで一気に盛り上がるものと、
全体として決してスピード感があるわけではないけど、なんだか無性に次が気になるもの。

本書は後者に属していて、なんだか次が気になるのです。
ソコソコ厚さのある本ですが、微妙な熱量でグイグイ引き寄せられて、気が付けば読み終わっているような感じです。

初めて誉田哲也さんの本を読みましたが、また違う本にもチャレンジしたいと思っています。

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