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イン・ザ・プール

※私が読んだ本の書き出しとざっくりした内容を書き留める読書記録です


はじめの一行

主人公を出し惜しみ?

本書はかなりヒットして、映画化もされた作品です。
後にシリーズ化された「伊良部先生」の活躍ですが、この先生がかなり個性的。
その先生は、なかなか出てこない。
きっと持ったいつけているのでしょう。
こんな書き出しで本書は始まります。

「伊良部総合病院」の地下一階は人の行き来もなく閑散としていた。大森和雄は「神経科」と書かれたプレートをため息交じりに見上げている。外光がないだけに蛍光灯の青白い明りがやけに頼りなげで、心なしか空気までひんやりしているように思えた。
体よく追い払われたな---。和雄の中にはそんな思いがあった。体の不調を訴え連日通い詰める和雄に、内科の若い医師は冷淡だった。昨日など採血のあと、「ヤクルトでも飲みますか」と皮肉られたほどだ。レントゲンを撮っても尿検査をしても異常は見つからず、きょうはとうとう「一度うちの神経科に行ってみませんか」と提案されたのだ。「ちょっと変わった先生ですが慣れればどうってことないですから」若い内科医は引きつった笑みを浮かべ、和雄と目を合わせようとはしなかった。

イン・ザ・プール(奥田英朗)

本書の内容

ちょっとコミカルな物語

たぶん、本書の最大の魅力は、伊良部総合病院の精神科医、伊良部一郎先生の個性でしょう。
なんともハチャメチャで、本当に医師?と思うのですが、とんでもない人に見えて、実は名医なのかもしれない。
そんな不思議なキャラクター。

短編集の形態をとっており、伊良部先生を訪れるのは、
プール依存症、陰茎硬直症、妄想癖などバラエティ豊か。
あまりに変わった症状ではあるものの、彼らの心理描写がなんとなく「あるある」な感じで、どこか共感してしまう。

そんな不思議な面白さがあります。

全編を通して、ニヤニヤしながら安心して読める構成は、気楽に読める一冊としてお勧めです。
けっか、このシリーズはすべて買ってしまいました・・・笑。
中毒性のある一冊。

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