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人体大全 なぜ生まれ、死ぬその日まで無意識に動き続けられるのか

※私が読んだ本の書き出しとざっくりした内容を書き留める読書記録です


はじめの一行

第1章 ベネディクト・カンバーバッチのつくりかた

ずっと昔、わたしがアメリカで中学校に通っていたころ、生物の先生に、人体を構成している化学物質はすべて金物店で5ドルかそこらで買えると教わったことがある。正確な金額は思い出せない。2ドル97セントだったかもしれないし、13ドル50セントだったかもしれないが、1960年代の貨幣価値から考えてもずいぶんと安上がりだった。たとえば自分のような猫背でにきびだらけの生き物が、ただ同然でつくれるのかと考えて愕然としたことを憶えている。

人体大全 なぜ生まれ、死ぬその日まで無意識に動き続けられるのか(ビル・ブライソン)

本書は見た限りでは、いきなり第一章の本文に入ります。
そこで取り上げられるのは、人体を構成する材料は値段にして幾らぐらいか、という話。
上記にある通り、高くても数千円で材料がそろう我々の人体が、約80年正確に動き続けるという事には脅威としか思えません。
なにしろ、iPhoneより安上がりだけど、そんな機械とは比べ物にならないくらい複雑。
もうそんな話を聞いただけで好奇心がうずく人は多いのではないでしょうか。
私もその一人。
思わず本書を手に取りレジに走りました。

本書の内容

人体にまつわるあれこれ

本書を読んだ最終的な感想をひとことでまとめるなら、「実は私たちは人体のことを何もわかっていないことを知った」と言えそうな気がします。
本書は様々なジャンル(身体のパーツなど)に分けて、そのパーツごとの興味深い仕組みや逸話を紹介しています。
たとえば、視覚について。

人が物を見るというのは、物に当たった光を眼から取り込むわけですが、目の受光体には3色(一部の女性で4色)の色を感じる感覚器官しかない。
これを信号に変えて脳に送り込むわけですが、頭がい骨という暗闇の中で脳はそれを処理し、映像化します。
当然信号が送られ、映像化するには非常に微妙なタイムラグがあるため、実は脳は驚くべき処理をしているそうです。
何をしているかというと、信号を受け取った時点から1/5秒後の視界をシミュレーションし映像化しているのだそうです。
つまり、私たちが「今見ている」と思っているイメージは、脳の未来シミュレーションってあまりに不思議です。

また、たった200年前には麻酔がない状態での手術が普通になされていたようで、その様子の手記なども紹介されていて、読むのも痛い。

他には、人体にはまだ今一つその役割がわかっていないパーツがあったり、なぜそうなっていかが進化論的に見えないものであったりの紹介もあります。
例えば閉経というのは人間と羊くらいにしか見当たらないのだとか。
そういったことから、人間はどこからきてどこに向かうのかを考える材料にして、空想にふけるのもオツかもしれません。

そんなこんなで、知っているようで知らない私たちの身体のことを、論文や一般書などから広くあつめて、構成した一冊。
知的好奇心がくすぐられる楽しい一冊です。

本書の目次

以下に、Amazonにあった本書の目次をコピペしておきます。
これを見て頂くと内容がイメージしやすいと思いますので、購入の参考になるのではないでしょうか。
512ページとなかなか厚い本ですが、読ませる文章でとってもグイグイ引き付けられます。
一章当たりの文書量がちょうどいい感じで、毎日一章読み続ける感じだと負担感なく読めるように思います。

第一章 ベネディクト・カンバーバッチの作り方
あなたがあなたでいられる理由/何をしているのかほとんどわからないヒトゲノム
第二章 わたしたちは毎日皮膚を脱ぎ捨てている
皮膚は最高の「センサー」である/皮膚と人種差別/指紋の「万人不同性」の発見/私たちの体は生きた「エアコン」/皮膚微生物という便利な同居人
第三章 微生物との「甘い生活」
人の九割は細菌?/三万年眠り続けたウイルス/抗菌薬の登場/抗生物質と細菌の終わりなき死闘
第四章 脳はあなたそのものである
脳はあなたのすべてである/脳ほどあてにならないものはない/「宣言記憶」と「手続き記憶」/脳と人格は関係があるか/脳が傷つくとどうなるか
第五章 頭のなかの不思議な世界
世界最大の「頭蓋骨コレクション」/「見える」という奇跡/ヘッドホンの使い過ぎにご注意を/嗅覚は私的な感覚
第六章 あなたの「入り口」は大忙し
「食べる」と「話す」と「呼吸する」を同時に行う場所/バスタブ二百杯分の唾液/味覚受容体は口内以外にも存在する/「うま味」の発見/チンパンジーには不可能で、わたしたちしかできないこと
第七章 ひたむきで慎み深い心臓
体内でもっとも「ひたむき」な器官/開胸手術の歴史/血液は何をやっているのか/血液型の発見
第八章 有能な「メッセンジャー」ホルモン
ランゲルハンス島のなぞ/ヒトが過食になりやすい理由/肝臓は数週間で再生する/テニスボール大の結石
第九章 解剖室で骨と向き合う
ヒトは死なないように設計されている/死体が足りない! /骨だって生きている/骨と筋肉と腱の華麗なるコラボレーション/私たちは生涯で二億歩歩く
第十章 二足歩行と運動
二足歩行の代償/旧石器時代の設計と飽食の時代
第十一章 ヒトが生存可能な環境とは
ヒトはワニのひと月分の食糧を毎日食べている/ヒトが居住可能なのは地球の全表面積の四パーセント/アメリカに提供された七三一部隊の研究成果
第十二章 危険な「守護神」免疫
侵入者から体を守る頼もしい味方/臓器移植と拒絶反応/アレルギーという負の側面
第十三章 深く息を吸って
大気汚染は喘息の発作を起こすが発生の原因ではない/タバコメーカーと医学会の熾烈な戦い/六十八年間しゃっくりし続けた男
第十四章 食事と栄養の進化論
ヒトの進化と調理の関係/ビタミンとミネラルの発見/タンパク質/炭水化物/脂肪/飢餓よりも肥満に苦しむ人が多い時代/塩をめぐるパラドクス
第十五章 全長十二メートルの管で起きていること
胃は過大評価されている/胃に穴があいたままの男/薬剤師であるというだけで開腹手術をさせられた男
第十六章 人生の三分の二を占める睡眠のこと
クマは「冬眠」しているのではなく「休眠」している/睡眠中の方が活発に活動する前脳/「体内時計」という発見/睡眠不足がわたしたちにもたらすもの
第十七章 私たちの下半身で何が起きているのか
消えゆくY 染色体/セックスという優れた「生存戦略」/すべての人類の祖先が女性である理由/誤解まみれの生殖器
第十八章 命の始まり
極端に非効率なヒトの生殖/母になることとあの世に行くこと/進化の代償としての難業
第十九章 みんな大嫌いだけど不可欠な「痛み」
どのように痛みを数値化するか/よい痛みと無意味な痛み
第二十章 まずい事態になったとき
どこからともなく現れ、消えていくウイルス/感染症は畜産の発達の副産物である/一番危険なのは進化のはやいインフルエンザ
第二十一章 もっとまずい事態(つまり癌)になったとき
がんは「許可なき自殺」/麻酔なしの切開手術/母親の腹部に放射線をあたてみた医師と物理学者の兄弟
第二十二章 よい薬と悪い薬
盗まれた栄誉/長生きしたければ金がいる/健康な人とは「まだ検査を受けていない人」のこと/過剰医療で得をするのは誰か
第二十三章 命が終わるとはどういうことか
「人を死なせるのはライフスタイル」という時代/わたしたちの寿命は細胞にプログラムされている/人が百十歳まで生きる可能性は七百分の一/アルツハイマー病にお手上げ状態/人が死んだあとに起こること


いやーーー、読書って素晴らしいですね。

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ちなみに私はこんな本書いている人です。


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