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天空の蜂

※私が読んだ本の書き出しとざっくりした内容を書き留める読書記録です


はじめの一行

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午前五時ちょうどに電話は鳴りだした。その約一分前から腕時計と電話機を交互に睨みつけていた『彼』は、一度目のコールサインが終わらないうちに携帯電話の通話ボタンを押していた。
「もしもし」
「もしもし、ハチダさんのお宅ですか」男の声だった。
「そうです」
「俺だ」途端に相手の男の口調が変わった。声も一層低くなった。「今、終わった」
「お疲れさん」と彼は言った。「『彼女』の機嫌はどうだい?」
「すっかり上機嫌さ。これでもう俺の言いなりになってくれるはずだ」

天空の蜂(東野圭吾)

彼女が俺の言いなりになる。
この会話で、よからぬ想像を膨らませる男性はけっこう多いかもしれませんね。
ええ、私もそのひとりです。
ただまあ、今回の話の中のとても重要なシーンの一つであることは明らかです。
そして、一度読み終えてこの書き出しを読み返してみると、まったく違う会話に聞こえるから面白いですね。

本書の内容

テロリストを描く

東野圭吾さんの作品を知っている方は、イメージとしては本格推理小説といった感想が強いのでしょうか。
私はそういうイメージでした。
というのも、映像作品では推理系がけっこう売れてたように感じたからです。
ただ私の個人的な好みとして、あまり謎解きをしながら本を読むのが苦手というか面倒くさいので、素直に読んで、素直にカラクリに驚くタイプなので、推理小説ってだんだん飽きてくるんですね。
そういう意味では、日本の小説ってハリウッド映画の世界とは違い、世界観が小さい。
それが悪いわけではないのですが、私的には比較的派手なドンパチが好きなので、そういうジャンルを選びがちです。

本書は、いわゆるテロ事件になろうかと思います。
最新鋭の巨大ヘリコプター、通称ビッグBが何者かに奪われます。
奪われるというのも持ち去られるわけではなく、エンジンが遠隔で起動され、空中でホバリングしている状態で犯人からのコンタクトが入ってきます。
なんとそのヘリコプターのホバリング場所は、原発の真上。
犯人の要求は、日本中の原発を止めること。
この事件、同落としどころをつけるのだろう?というのが読者としての最大の関心です。

4つの要素

この物語においてはいくつかの流れがあります。
一つ目は、奪われたヘリの中にヘリ開発関係者の子供が閉じ込められたこと。この救出劇があります。
二つ目は、ヘリが落とされないために何ができるtかという話。
三つ目は、そもそも犯人を探し当てるという話。
四つ目は、犯人の動機について。
この三つが同時、あるいは順番に進行していきます。
もちろん最終的にはすべて一定の結論に行くのですが、そこは読んでのお楽しみ。

こういったストーリーの背景に、著者である東野圭吾さんの社会的な問いがあるように感じました。
そこに結論を出すわけではないのだけれど、一石を投じたいという思いがあったのかもしれません。
ありていな推理ものに飽きた人にはお勧めの一冊です。

いやーーー、読書って素晴らしいですね。

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