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陰陽師(おんみょうじ)

※私が読んだ本の書き出しとざっくりした内容を書き留める読書記録です


はじめの一行

映画化もされた

陰陽師と言えば、野村萬斎さんと伊藤英明さんのキャストで作られた映画、陰陽師が印象に残っています。
この手の日本映画としては、良く出来たものでチャチな感じがしなくて、楽しく見たことをおぼえています。

その元となる小説がこれ。
歴史書を紐解いてエピソードを書いているのか、完全なオリジナルなのかはよくわかりません。
正直、私は歴史小説というやつが苦手。
というのも登場人物の名前が覚えられないのです。

また、独特の言い回しも、読むのが苦痛になってしまう。
ただ、本書に関していえば、古さ故、すこし変わった言い回しはあるものの、普通にスラスラ読むことができます。
この物語は、こんなふうに始まります。

奇妙な男の話をする。
たとえて言うなら、風に漂いながら、夜の虚空に浮く雲のような男の話だ。
闇に浮いた雲は、一瞬前も一瞬後も、どれほどかたちを変えたようにも見えないが、見つめていれば、いつの間にかその姿を変えている。同じ雲であるはずなのに、その在様(かたち)の捕えどころがない
そんな男の話だ。
名は、安倍晴明。
陰陽師である。
生まれたのは延喜二十一年の頃、醍醐天皇の世(とき)らしいが、この人物の生年没年は、この物語とは直接関係がない。物語のおもしろみとしては、そんな数字などははっきりせぬ方がかえっていいのかもしれない。

陰陽師(夢枕獏)

どこか、平安の語り部チックな始まり方ですね。
第三者による語りで始まるわけですが、その人もどことなく個性を持っています。
実は、これ、著者の地じゃないかななんて思ってしまうのですが。

本書の内容

ミステリアスな安倍晴明

すでに、少しそういったジャンルに興味があれば、安倍晴明のミステリアスな存在感は事前に持っているのではないかと思います。
本書においては、安倍晴明は随分とハンサムに描かれています。
人間的には、ちょっと意地悪な面もありそうですが・・・笑

そんな安倍晴明と、実直な性格の源博雅との組み合わせはなかなか面白い。
源の博雅は、力のある武士ではあるものの、妙に素直で憎めない部分がある。
そんなお互いを認め合いつつ、どこか博雅がからかわれながら悪鬼退治をするという物語。

一つ一つが短編として完結しているので非常に読みやすい。
たまに、ちょっとお色気っぽいシーンもあり、どことなく少年漫画にありがちなフレームなような気もします。

全体を通して、オカルト満載というより、ぞわっとくる怖さはさほど強くはないような気がします。
恐怖小説というより、冒険活劇的なニュアンスですね。
どなたでも、そこそこ楽しめる内容ではないかと思います。

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