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EA ハーバード流こころのマネジメント――予測不能の人生を思い通りに生きる方法

※私が読んだ本の書き出しとざっくりした内容を書き留める読書記録です


はじめの一行

1章 EA:感情の敏捷性(エモーショナル・アジリティ)はなぜ必要か

ときは『ダウントン・アビー』の時代にさかのぼる。イギリスのある名高い艦長が戦艦のブリッジに立ち、夕日が沈むのを眺めていた。伝えられているところによれば、艦長が夕食のために下へ降りようとしたとき、見張りが急に声を上げた。「明かりです。前方、二マイル先」
艦長は舵の前に戻った。
「止まっているのか、動いているのか」。レーダーのないこの時代、艦長はそう尋ねた。
「とまっています、艦長」
「では信号を送れ」。艦長はぞんざいに命じた。「こう伝えよ。『このままでは衝突する。進路を二十度変更せよ』」
するとすぐに、明かりの元から反応があった「そちらが二十度変更されたし」
艦長の顔は丸つぶれだった。権威が軽んじられたのだ。しかも若い部下の前で!
「ではこう伝えろ」と艦長は怒鳴った。「こちらはイギリス海軍、三万五〇〇〇トンのドレッドノート級戦艦、ディファイアント号。進路を二〇度変更せよ」
「おそれながら」とまた応答があった。「こちらはオライリー二等水兵。そちらの進路を直ちに変更されたし」

EA ハーバード流こころのマネジメント――予測不能の人生を思い通りに生きる方法(スーザン・デイビッド)

本書にはまえがきらしきものが見当たりませんでした。
そこでいきなり1章に入ります。
そこで出てくるのが、およそ本書のタイトルにそぐわないエピソード。
だんだんと緊迫してくる状況の中、タイトルとの関連性の疑問、エピソード自体の面白さなど、次を読みたくなるような構成になっています。
で、この種明かしをしましょう。
ネタバレなので、読みたくない方は飛ばしてください。

このオライリー二等水兵がいたのは船ではありません。
灯台でした。

本書の内容

物事は常に思い通りにはいかない

冒頭のエピソードが示す通り、自分の進みたい道が常にクリアというわけにはいかない。
人生においては、上手くいくことよりむしろ、上手くいかないことのほうが多いのかもしれません。
状況を動かせないとすれば、私たちはそれをどうとらえるかを学ばなければなりません。
それを単なる苦しみととらえるか、失敗ととらえるか、あるいは、それは過程ととらえるか。
それだけで私たちの目の前の出来事の意味は、ずいぶんと変わってくるような気がします。
そういったものの見方を学び、心のありように違った道付けをできるようにしよう。
それが本書のテーマではないかと思います。

具体的な戦略

本書は、心の働きと、そういった心が私たちに見せるものを学術的なデータをもとに教えてくれます。
そして、具体的に心理的に苦しい局面をどう乗り切るか?ということも。
たとえば、チームのリーダーだとしたときに、私たちは様々な障害にぶち当たります。
まさに冒頭の灯台のメタファーように、相手を動かす事が難しいことも少なからずあります。

今まではどちらかと言えば、相手をどう動かすか?ということを考えるシーンが多かったと思います。
が、相手が灯台なら動かすことはできません。
そこで私たちは、動くことのない灯台をどうとらえるか?ということを学ぶ必要があります。
単に障害物とするのか、それを利用する方法はないか?と考えるのか、それは人それぞれ。
その人それぞれの部分について、複数の味方を知ることが、人生の戦略としては非常に強い味方となる。

本書で最も激しくうなずいたのは、ストレスやトラウマは「書くこと」で解消されるというくだり。
これは別の研究者による成果ですが、それを知るだけでも価値があるのではないでしょうか。
なかなかに読み応えのある良書と感じました。

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