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謎のピータージェイムスE

その日はとても天気が良かったので、ダイルクロコダイル氏は予定を変え
博物館へは、もうすこし遅い時間に行くことにして
その前に、お弁当を持って公園へ行くことに決めました

今日のお弁当は、卵のサンドイッチとミルクティーです。

ケンジントンパークにある花園のベンチに座って、お弁当を広げようとした時
とてもおしゃれな若い象が、こちらに向かって歩いてくるのに気がつきました。
目が合ったのでダイル氏が挨拶をすると

「何を食べているのですか?」
と、ダイル氏のお弁当を覗きながら、訊きました。
卵サンドに目がなかっ、たのか?
お弁当箱を覗いた象は
「ありがとう!」と言いながら
突然,長い鼻を伸ばして、ダイルクロコダイル氏の卵サンドを
ヒョイットつまんで、とても美味しそうに食べてしまいました!

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ダイルクロコダイル氏は、ビックリして言葉を失ってしまいました。
しかし、あまりにも自然な振る舞いの象のその態度に、少し感動も覚えた
ダイルクロコダイル氏は
ミルクティーも一緒にと、勧めてしまいました。

喜んだ若い象は、ダイルクロコダイル氏の隣にすわって、
お茶を飲みながら、そして、もう一つ卵サンドを食べながら..
自己紹介もせずに、ぺらぺらと話し始めました。
お喋りは、天気や花、お茶の話からアートやファッション
そして、色々な世界に広がり、
気がつくと午後2時の鐘が鳴りました。

さて、と突然立ち上がった、若い象はポケットの中から
小さなカードを取り出して、それをダイルクロコダイル氏に差し出すと
「ではまた会いましょう」とひとこと言うとハイドパークの方へ
スタスタ歩いていってしまいました。
ダイル氏が象から受け取ったカードをみると
それは、あの若い象には似つかわしくない
ゴールドの飾り模様が付いた、クラシックな雰囲気のする
かなり高級な紙で出来ている名刺でした。

名前は、ピータ ジェイムス E
住所は、スカースデイル街3番地
名まえの上にはArt lover と、書いてありました。 

目が合ったと思ったら、
突然断りも何も無く、ダイルクロコダイル氏の
大好物の卵サンドイッチを長い鼻を伸ばしてヒョイと取って食べてしまう
このピータージェイムスEと名乗る、
若い像にはビックリさせられました。

でも、お喋りは楽しかったし...、
そしてどこか変わっているけれど若いのに、不思議な魅力のある
Art-loverのピータージェイムスEに興味が出たダイルクロコダイル氏は
そのうち彼を訪ねてみようか、と思いながら、
歩き去るピータージェイムスEの後ろ姿を、暫く見ていました。

 to be continued...

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