8月読書記録「富士日記を読む」「彼岸花の咲く島」「闇祓」「テスカトリポカ」

8月16日(火)今日から3日間休み、嬉しや。9時55分、カワチ薬局に到着、開店は10時、図書館から借りてきてあった「富士日記を読む」を開く。借りてすでに1週間経過しているのだけれど、読むのを惜しんでいた。。1行目「東京のアパートは陽があたらないから、15年ほど前に富士北麓に山小屋を建てた・・」から「ああ、やられた・・」と思う。書かれたのはオットの泰淳さんが亡くなって1年後。山小屋は1年前のまま・・詳細な描写は絵画のように部屋の様子を教えてくれる。娘さんと泰淳さんのお話をし、最後は東京で年長の夫婦とすれ違ったとき「ふしぎな生き物をみているようなのだ」と締めくくっている。この年長の夫婦とすれちがったときの気持ち・・色々想像してみる。羨ましい、寂しい、つい1年前までは自分もああだった・・とか・・??
私にとって、夫婦生活を続けていくことは結構しんどい。。辛抱が足りないのですぐ終わりにしたくなる。。けれど長く夫婦生活をつづけたあとの光景を見てみたいと思わせてくれるのだ・・さ、開店した、とっとと買い物をして帰宅して続きを読もう

彼岸花に覆われた島に流されてきた宇美は記憶をなくしている。游娜他村の人達に見守られつつ島での暮らしになじんでいく。
大ノロが島の歴史を語るくだりがクライマックスでドキドキ度MAX~の読了後は嵐の後の静けさと優しい気持ちになる。納得はできないけれど、そうなればいいよね。。という気持ち。後半によく出てくる「何が正しいかはわからない」「これが正しいかはわからない」等のセリフが印象的だ。最初は「そんな無責任な・・」と感じだのだが、「わからない」ということは大事だ。それについて考え続けるきっかけになるし謙虚な気持ちになる。大ノロのような力を持つリーダにこそ必要な気持ちなのだ。

これはホラー小説だろうか。久しぶりに31度となった暑い日に読んでいたのだが背筋がぞーっとして涼しくなること数え切れず。自分の闇を他人に押し付ける「ヤミハラ」の話、過剰な自意識から生じているらしい日常生活あれこれ・・捉え方によってはギャグみたいに笑えてもいいはずなんだけど・・笑えない。。ただただ恐怖の読書時間

24時間自由な身であったらぶっ通しで読み続けたはずな圧倒的エンターテイメント。。と言ってよいのだろうか。・・子供の臓器移植、麻薬、暴力、死。。と社会の闇を教えてくれる小説でもあった。前半はただただこういう世界もあるのか、あったのかと恐ろしさに震え、今の生活が本当にとるに足らないちっぽけなものだと絶望的な気分になる。ふいにずいぶん前の映画「闇の子供たち」だったか??を思い出す。たぶんテレビのニュースとかワイドショーとかでは取り上げていた話題なのかもしれないけれど、ついつい右耳から左耳に流れていくという感覚なのだが、小説として読むと全く感覚が違うものだと今回思ったことだ。神話や歴史を語り継ぐことの恐ろしさの一面を知った。コシモとジュンタは生涯を全うできるだろうか。。と思いつつ読了。2022年で読んだ本の中で今のところ一番面白かったし印象に残る本となった。佐藤究さんはこのあとどんな本を書けるんだろうと期待と心配でごちゃごちゃな心境だ



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