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朝8時すぎ、木陰のホットサンド

ゴールデンウィークはたまった仕事もあって、朝昼晩のごはんを作りながら家族でだらだらと過ごしていた。そんな中、夫から明日の朝ごはんは外で食べようという提案があった。近所の公園でホットサンドを作ろうというアイデアだ。素敵ではないですか。

ホットサンドならカセットコンロでいいね、コーヒーセット持っていこう、じゃあパンとハム買ってくるよと、話のまとまり方も早い。朝起きて夫と、帰省している息子と3人で手早く支度する。私はスープ用の野菜も刻んで鍋と一緒に袋に入れた。

目指すは川沿いの大きな公園。デイキャンプできるので休日になるとバーベキューを楽しむ家族連れでいっぱいになる。みんな昼ぐらいからスタートするから、朝なら空いてるんじゃない?ということでのんびり出かけた。

ところが。

駐車場にはすでに車が列を作っていて、人が誘導していた。「やっぱり場所取りで早めに来る人がいるんだね」と言いながら荷物をかかえて階段を登る。土手を超えた向こうが広場なのだ。しかし階段を上がり切ったところで私たちは絶句した。そこには、見渡す限りびっしりとテントが張りめぐらされていた。

広場に降りて歩いていく。人、人、人、テント、テント、テント。大きなカートにキャンプ用品をのせた人が次々通り過ぎていく。まるで休日のショッピングモールだ。かなり端っこの方にようやく小さなスペースをみつけてデッキチェアを置くことができた。

ちょっとびっくりしたけれど、草の上に座ってしまえば気持ちの良いもの。カセットコロンロを2台持ち込んだので、片方でコーヒーの湯を沸かして片方でホットサンドを焼く。わが家ではホットサンドはなぜか夫が担当みたいな感じになっている。ハムとたまねぎとチーズを厚めのパンにはさんで、ホットサンドメーカーにぎゅっと押し込んだのを渡されて、私はコンロにのせるだけ。

息子はコーヒー担当だ。3人分の豆をミルでがりがりとひく。ポットから少しずつ湯を注ぐ手つきもなかなか。カップが手渡される。外で飲むコーヒーって最高においしい。それが人の淹れてくれたものなら、なおさらだ。

ホットサンドは3つ焼いた。凝った具というわけではないけれど、こっちも家で食べる倍おいしい。小さなペティナイフしかなく、サンドイッチ用のナイフを持ってくればよかったと夫が言う。
空いたコンロで私もスープを作る。重大な忘れ物をしたのは私の方で、なんとスープ用の食器をまるまる忘れてきた。コーヒーを飲んだあとのカップを水でゆすいで使う。それもまた良い。ちょっとした失敗や、何かが足りないということがアウトドアでは大事なのだ。

木の間から気持ちよく光がこぼれてきて、少し湿った草の匂いがして、ホットサンドとコーヒーもおいしくて。人の声は空に抜けて、良い感じのBGMになって耳に届いている。

すっかりくつろいだしおなかもいっぱいになったしまだ人も来るし、私たちはサクッと引き上げようと、片づける。椅子をたたんで荷物をバッグに放り込むだけ。テントもシートもないからあっという間だ。

駐車場待ちの長い列ができていた。最後尾にただいま120分待ちという看板を持った人が立っていて驚く。コロナで長く外出できなかった間にデイキャンプはこの辺りに住むファミリーの唯一のレジャーにもなっていたんだなあと思う。

そんな朝ごはんを終えて家に帰って、あとは普通の一日。今夜はワインを飲みたいな、何作ろうかなあと考えているところです。









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