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スープの方程式

スープ作家になってから一番聞かれた質問は、組み合わせのコツや法則ってありますか?ということです。最初はうまく答えられなかったのですが、そのうち、自分がスープを考えるときに、ひとつの型の中で考えていることに気がつきました。それが「スープの方程式」です。

(素材   )×(だし   )×(オイル   )×(調味料   )

この(   )の中に何を入れるかの違いによって多様な組み合わせを作り出しています。どういうことか、説明しますね。

●「素材」は1種類でも2種類でも。たいてい2~3種が多いですが、ミネストローネやけんちん汁だと7~8種入ることも。うまみの出やすい肉や魚、油揚げなどのたんぱく質と野菜の組み合わせが多いです。

●「だし」は、昆布、かつお、しいたけなどの和風だし、肉のブイヨンなどの洋風だし、鶏がらスープなど中華だしなど。顆粒だしやブイヨンキューブでもいいですし、素材のうまみが出るものなら「だしなし」という選択もありです。毎日つくるうちに、家のスープはだしがなくても充分満足できると思いました。

●「オイル」は、料理のイメージを決める鍵となります。オリーブオイルやバターなら洋風、ごま油で中華、和風のお吸い物や味噌汁はオイルなし。同じ素材で同じだしで同じ塩で味つけてもオイルで変化が生まれることもあるので、一種の調味料と考えてもいいかもしれません。

●「調味料」はまず塩気。塩、醤油、味噌ですね。キムチやザーサイなどの漬け物やベーコン・ソーセージなど加工肉の味つけを利用することもあります。そこに少しの砂糖や酢、あるいは胡椒やカレー粉などのスパイスなどで食べたい味にチューニングしていくわけです。

それぞれの項目に「なし」という選択があります。たとえば、具なしのスープ、だしなしスープ、オイルレススープ、特殊ですが調味料のないスープも存在します。だしなしスープはだしのかわりに水を使います。

試しにやってみましょうか。

例1 (具材:たまねぎと鶏肉)×(だし:顆粒コンソメ)×(油:オリーブオイル)×(調味料:塩)=オニオンチキンスープ
例2:(具材:ほうれんそうと油揚げ)×(だし:だしパックでこんぶかつおだし)×(油:なし)×(調味料:味噌)=ほうれんそうと油揚げの味噌汁

スープ作りのワークショップをやったことがあります。素材を準備しておいて、チームで方程式にのっとって組み合わせを考えてもらったら、同じスープはひとつとしてできませんでした。
この4要素の空欄を埋めたらスープにまとまってくるとわかるだけで、食材の組み合わせ方は整理されてくると思います。

食材の組み合わせの相性については長くなるので、またの機会に。

【スープの方程式で作る、オニオンチキンスープ】
材料(2人分):(具:たまねぎ1個 鶏もも肉50g)×(だし:顆粒コンソメ2g)×(油:オリーブオイル小さじ2)×(調味料:塩小さじ1/2 好みで胡椒)

1 たまねぎは1cm角に切る。鶏もも肉も食べやすく細切れにする。
2 厚手の鍋にオリーブオイルを熱し、玉ねぎを3~4分炒める。しんなりしたら、鶏も加えて炒める。
3 水500mを加え、コンソメと塩を加えて沸騰後弱火で10分ほど煮込む。味をみて塩と胡椒でととのえる。




読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。