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1/2枚の油揚げ

油揚げはわが家の常備品です。関西の人は「おあげ」「おあげさん」と呼びますよね。かわいい呼び方。私は子供のころから「油揚げ」です。お気に入りの、ふんわりおいしくて値段もちょうどいい2枚組の油揚げがあって、それが置いてあるスーパーに行くときに買っています。

油揚げといえば、まずはみそ汁です。豆腐と油揚げ、ほうれんそうと油揚げ、大根と油揚げ。あっさりした食材に、ちょっとコクとボリュームがつきます。
ほかには、ひじきや切り干し大根、水菜と油揚げの煮びたし。炊き込みご飯にも刻んで入れます。変わったところではトースターでカリッと焼いてサラダにトッピングしたり、それをスープに入れたりもします。

こんなに食べ方をいろいろ知っているのにですよ、わが家ではなぜか油揚げがよく余るんです、それも1/2枚。

油揚げを味噌汁に使おうと、1枚をまな板にのせます。でもふたり家族のみそ汁に1枚は多すぎます。たかが油揚げ一枚、使い切ってしまえという声が聞こえてきそうですが、油揚げは3片くらい浮かんでいれば満足なのです。半分にカットして使い、次の日に残り1/2枚をまたみそ汁に入れる。これで1枚分。

あと1枚、別の料理にすれば使い切れますが、味噌汁が油揚げなのに他の料理にも油揚げはどうだろうか…と保留してしまい、翌日また1/2を考えなしにうっかり味噌汁に入れてしまったりすると、もういけません。飽きるのです。かといって賞味期限が近いから全部入れちゃえ!と乱暴に消費すると、お椀にびっしり油揚げが浮かぶシュールなみそ汁になって、これはこれで後悔します。

こんな話をすると「冷凍すればいいですよ」「カットした冷凍品が便利です」「こういう食べ方だとおいしいですよ」と言われそう。自分もそんな風に答えますし、だいたいのお悩み相談情報ってこういうものです。

でも、1/2の油揚げを手にしてふと思ったんです。この油揚げが本当の私の悩みなのかなと。

なんということはない、1枚入りの油揚げを探せば解決する話です。でも、なんだかこの油揚げ問題ってあちこちに通じているなという気がしました。こういう、ほんのちょっとだけ自分にフィットしないというものは、実は日々料理をしていると無数にあるからです。
私たちはダメになりかけた油揚げだけを見て、何かいい方法がないかと思うわけですが、その一方で、油揚げが運ばれてくる場所や、どう商品化されているか、あるいは自分の食事の習慣には無頓着だったりします。

正直、台所のことなんて1/2の油揚げのように、取るに足らないことだらけ。キッチンのことはいつも素早く、確実に、現実的に解決することが求められます。でも、些細なことがふと気になったとき、それは自分にとって実は大事なところへとつながる道かもしれません。まだ見えない何かだとしても。

残り一枚の油揚げはこうして食べると一気になくなります。私にだって、わかってるんですよ。

【油揚げのねぎ味噌焼き】
材料:油揚げ1枚 長ねぎ10cm 砂糖小さじ1 味噌小さじ2 みりん小さじ2 醤油小さじ1/2

1調味料をすべてよく混ぜ合わせて油揚げに塗る。
2長ねぎを斜め薄切りにして、1の油揚げにたっぷりのせる。
3オーブントースターで6~7分、長ネギと油揚げに焦げ目がつくまで焼く。



読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。