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おいしい味噌の見分け方

私は10年ぐらい前まで、味噌がどう作られているか、ちゃんと知らなかったんですよね。毎日味噌汁作っていたのに。あるとき味噌づくりのワークショップに参加して、ほうほう、味噌とは蒸した大豆をすりつぶして米と麹を混ぜて、きれいな樽に入れてふたをして半年以上寝かせておくとできるのだということを頭ではなく体感的にイメージできるようになりました。米の麹を触ったのもはじめてでした。

それまでは味噌を買おうとスーパーの味噌売り場に立つと、ベージュか茶色かこげ茶色の同じスウェットを着た同じ顔の人たちが一列に並んでいるように見えて、えーと、誰に声かけましょうか、みたいな気分だったんです。
よくわからないから、添加物が入っていないかな、やっぱり国産大豆がいいのかな、長期熟成って書いてあるけどほんとかな……知識の切れっぱしほど役に立たないものはありません。全体がわからないのに判断がつくわけがないのです。

先日、発酵デザイナーの小倉ヒラクさんと対談をしたとき、1キロ千円以上の味噌を買うとまずおいしい、ちゃんと作っていることが多いからと聞きました。高い味噌は棚の上の方にあるので、棚の上半分から探そうとも。なるほど、こういうのは味噌のことを知り尽くしているからこその、とてもわかりやすい見分け方だと思いました。

とはいえ、です。わからないで買って食べても、味って結局わからないものです。お気に入りの味噌に偶然出会えた人はラッキーですが、家族の誰かからいつもの味噌がいいよなんて言われると、値段が高いだけにリピートには至らないのではないでしょうか。また、おいしいねとなっても、それを買い続けることには、もう一押し理由が必要な気がします。

味噌づくりを体験した良さは「味噌の顔」が区別できるようになったこと。
原料の欄に「大豆・米こうじ・塩」と書いてあれば米味噌。「大豆・麦こうじ・塩」とあれば麦味噌です。白味噌は麹が多めで塩分が少ない味噌、黒っぽい色の味噌は熟成が進んだ味噌。パッケージに丸いキャップのようなものがついているのは、加熱やアルコールによって麹の働きを止めていない生みそです。
素材と作り方と味の関係がわかったら、そういうことがスッと頭に入ってくるようになりました。

たとえば味噌の話をすると「おいしい味噌を教えてください」「どんな味噌を使っていますか?」という人が多いんです。別に隠したりしていないしふつうにお教えするんですけど、心の中では、それを聞くより一度味噌づくりをやってみたほうが味噌への理解が深まって、たくさんのおいしい味噌と出会えるようになるんだけどな、と思っています。

最近、味噌の手作り体験はとても手軽にできるようになっていますよね。おすすめです。

【味噌クリームをのせた新たまねぎのポタージュ】
材料(2人分):新たまねぎ中2個 オリーブオイル大さじ1 塩少々 味噌(お好みのもの)小さじ2ぐらい

1 新たまねぎは皮をむきざく切りにする。鍋にオリーブオイルと玉ねぎを入れ、中火にかける。
2 焦げないように水を少しずつ足しつつ、柔らかくなるまで6~7分ふたをして蒸し煮する。すっかりやわらかくなったら、水を100mLほど加えてブレンダーにかけてなめらかにする。鍋に戻し好みのとろみに水でうすめ、塩で 薄く味をつける。
3 味噌に2を大さじ1~2ほど混ぜて味噌クリームを作る。ポタージュを器に盛り味噌クリームをトッピングする。



読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。