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春夏秋冬を炊き込もう

スープは、旬の野菜を食べる最も簡単な食べ方です。どんな野菜にも一年のうちでもっとも輝く時期があります。そこをピンポイントで狙ってたっぷり使えば、それほど工夫しなくても、だしや調味料に凝らなくても、おいしいスープになってくれます。

それと同じぐらい簡単に旬を取り入れられると思うのが、炊き込みご飯。私の母はよく炊き込みご飯を作っていました。ごはんに旬の食材を入れて、昆布を1枚入れて、塩か醤油、お酒を少し。調味料の分差し引いて水加減して、あとはいつものように炊くだけで、季節の食材の香りや風味が移った最高のご馳走になります。
とくに春のグリーンピースごはんと秋の栗ごはんは私の大好物で、母からグリーンピースのさやをむいてくれと頼まれたとき、キッチンに下茹でされてザルに上がった栗をみつけたときは、夕飯の時間が待ち遠しかったものです。

実家では何種類もの具をだしで炊き込んだ五目ご飯などもよく炊いていましたが、我が家ではもっぱら、手軽な単品の炊き込み飯です。
春は、たけのこ。ゆがいたたけのこを大ぶりに切って、昆布を1枚、醤油を入れて炊き込みます。木の芽があれば料理屋風ですが、ないときは山椒の粉をパラッと振ってもおいしいです。
グリーンピースごはんは塩と酒だけで潔く。ほかに何も入れずにあっさり炊く豆ごはんは豆の香りが感じられます。

夏はとうもろこしごはん。以前はやらなかった炊き込みごはんですが、近年はとうもろこしが長い期間出回るようになって、ごはんにも気軽に炊き込むようになりました。粒をそいだ軸も一緒に炊き込むとおいしいと、八百屋をやっていた友人から聞きました。
鮮やかな赤いトマトを丸ごと1個炊きこんだごはんもおいしいものです。このときは鶏肉をぶつ切りにして、1品で食べられるボリュームごはんにします。炊きあがってからトマトをくずしてごはんに混ぜます。

新米の秋は炊き込みたいものが多すぎて迷ってしまいますが、私のおすすめが、里芋ごはん。里芋の皮をむいて半分に切ってごはんに炊き込むと、里芋のねばりが米粒をくるんでむっちりした食感になるのです。このときに一緒に炊き込みたいのが、塩昆布。ほかに味をつけなくてもこれだけでおいしいですが、桜えびを入れたら色もきれいです。
栗ごはんは、秋の一大イベント。栗をむくのはスケジュールのゆったりしている日、母にならって少しだけゆでた栗をむきます。栗ご飯のときだけはもち米を少し混ぜています。1/3量ぐらいをもち米に変えるだけで、おこわのような炊きあがりになります。

冬は何といっても牡蠣ご飯ですね。醤油を効かせ、針しょうがをたっぷり散らした牡蠣ご飯は、シーズン最初に牡蠣を食べるときに。
鶏ごぼうの炊き込みご飯は秋から冬にかけての定番ごはん。たっぷりのささがきごぼうに鶏の切込み肉を少しだけだし代わりに使います。柚子胡椒を添えていただきます。

春夏秋冬、スープにするか、それともごはんに炊き込むか。日々のごはんを作る中でとても心強い味方です。

【里芋と塩昆布の炊き込みご飯】
材料(2合):米2合 里芋中5~6個、塩昆布30g(あれば)桜海老大さじ1

1 里芋は皮をむいて半分に切り、水に5分ぐらいさらしてからザルに上げる。
2 米を研いで通常の水加減で浸水する。里芋と塩昆布を加えて通常通り炊く。好みで桜海老を散らす。



読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。