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見つめること、パンケーキ

朝食用のパンを買い忘れたので、パンケーキを焼くことにした。
パンケーキは樋口直哉さんのこれを参考にしている。簡素な覚えやすいレシピがお気に入り。

本当は2枚に分けて焼くんだけど、時間がかかるので大きなフライパンにザーッと一回で流す。雑だ。

雑はおうちパンケーキの身上でもあるのだが、その無頓着が災いし、私はほんとうによくパンケーキを焦がす。SNSでみんながアップする素敵なパンケーキを見て、どうやってみんなこんなに素敵に焼けるのかしら?と思ってヒアリングしてみたら、ある一つのことがわかった。

みんな、私のたぶん10倍ぐらい、生地の様子をよく観察しているのだ。

パンケーキの生地をフライパンに流す。そのまま中火で焼いていくと、パンケーキの上にぷつぷつと穴が開いてくる。樋口さんの解説では、ベーキングパウダーの炭酸ガスが抜けるということだ。ふくらみながら、表面が少しずつ熱で乾いてくる。

完全に乾ききらないうちにひっくり返す。このタイミングがむずかしい。焼きが足りないとひっくり返しに失敗しやすいし、かといって表面が完全に乾いてしまうと焼きすぎ。じわっと膨らみかけたところを見定める。その日の生地の状態によって何分何秒とも決められないので、時々ヘラで焼けている側も持ち上げて見張りつつ、ひたすら観察するしかない。

裏返してからは、火をごく細にして、じわじわ火を通す。生焼けはいやなので串を刺して確認するが、あまりぶつぶつ穴があいてもかっこ悪いから、ここもまた、観察だ。やけどしないよう指の腹でちょっと押してみることもある。香りも重要。五感を研ぎ澄まして、焼き上がりを逃さないようにする。

ところが、せっかちな私は、この2分だか3分だかを観察しながら待つ、ということができない。焼いている間にちょっとテーブルを拭いてお皿を出してと(段取り的にやっておけという話でもある)、フライパンの前から一瞬離れてしまう。そして、はっと気づいて戻ってみると、すでに時おそし。

スープは数十秒の差が影響することが少ない料理なので気にならないが、パンケーキはその十数秒が命取り。ここだ!というところを狙い定めてひっくり返せば、素晴らしい出来栄えになる。なるとわかっているのに、目を離す。
この前みんなには、観察大事、なんて偉そうに言ったのにな。今朝はひとまず焦がしはしなかったものの、適当にひっくり返したまあまあおいしいパンケーキを食べた。

そんな私に言われたくないと思いますが、パンケーキが焼けていくところ、ぜひじっくり見つめてみてください。

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きのうは久しぶりの外食。青山のThe Burnへ行き、ずっと気になっていたヴィーガンのコースを食べる。トウモロコシのローズマリー風味のポタージュが、衝撃のおいしさ。私の1000倍ぐらい解像度が高い味わい。

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いつも使っている、志村和晃さんの個展が、駒場のうつわPARTYで今日から。北欧、くらしの道具店の志村さんの動画が素敵だったので貼り付けておきます。


読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。