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野菜は大きくはじめて小さく終わる

毎日料理をする人で、冷蔵庫の在庫に頭を悩ませない人はいません。かといって、残さないように買い物する量をどんどん減らしていくばかりだと、作れる料理のレパートリーも減って、だんだん世捨て人のようになってしまいます。栄養的にも献立的にも、残さないように買うより買った量をおいしく食べるほうが食は豊かになります。

どうやったら余さずに食材を使い切れるでしょう。キャベツや大根を1個、1本使いまわす術はネットや雑誌でもよく見かけますが、他の食材の兼ね合いもあって、同じようにはいかないですよね。
でも、ある程度の法則はあるような気がしています。使い切りのポイントは「最初は大きくシンプルに、最後は小さく複雑に」ということです。

大根だったら、最初は大きく切ってふろふき大根やおでんにしたり、スペアリブと一緒にスープにしています。とにかく大根を主役にするような料理がいいのであって、皮ごと薄くスライスして味噌つけて生食もありですし、大根おろしのようにストレートに大根の味が出るものも新鮮なうちがおいしいです。変わったところでは、皮つきのまま1.5cm幅ぐらいの輪切りにして油をひいたフライパンでじっくり焼いてもサクサクして新鮮な味わいです。

残った大根は当然ですが少しずつ鮮度が落ちます。そうなってきたら私は他の食材と組み合わせて、味つけもちょっと強くして、大根の存在感を小さくしていきます。小さめに切って油揚げやさつま揚げと煮たり、角煮の煮汁でこってりと。千切りでツナなんかと一緒にマヨネーズであえたサラダもありです。

油揚げさつまあげ、桜海老とかザーサイとかキムチ、味の出るうまみ食材が、野菜の使い切り後半戦で武器になるので何かしら常備しておきます。また、この段階では顆粒だしや中華スープ、コンソメ、めんつゆや白だしなどのだし系調味料が登場。ケチャップ、ソース、マヨネーズも出番です。

他の野菜と組み合わせて混然一体にしてしまうのは残った野菜のいい使い方だと思います。私は最後は豚汁やけんちん汁、みそ汁の具で食べ切ります。他の具と合わせて鮮度の低さをカバーするのです。
でも、合わないものは無理に入れない。豚汁ではそれほど失敗はないですが、やさしい味のトマト味のミネストローネに大根を入れると苦みが出てしまいます。

残りを片づけたい気持ちはわからないではないのですが、片づけたいということは、その食材をもう味わいたいと思っていないんですよね。すると「どうせおいらは半端ものさ」とでもいうような、すねた味になります。

もったいない精神で食品ロスや環境問題に取り組むことは大事です。ただ、少し広い目を持てると良いなと思います。消費期限切れの食品を買うこと、地元の食品を使うこと、SDGsに取り組む企業の食品を買って応援すること、沢山作ってご近所さんと分けあうみたいなことのほうが食ロス防止には効果的ですが、そのあたりはなかなか進みませんよね。難しいものです。

【残った大根で肉団子豚汁】
材料:豚ひき肉200g 塩小さじ1/3 しょうが(すりおろし)小さじ1/3 サラダ油小さじ1 大根5cm しいたけ3枚 みそ大さじ2と1/2

1ひき肉に塩を加え、粘りが出るまで混ぜる。しょうがとサラダ油、水大さじ1を混ぜよくこねる。
2鍋に水600mLを沸かす。1をスプーンですくって落とし入れる。表面の色が変わったら、7㎜角に切った大根としいたけを加える。
3再度沸いたら弱火でふたをし10分煮て、味噌を溶き入れる。

読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。