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出す?しまう?つるす?キッチン道具


うちはリビングに入ったときに一番目に付く棚に、鍋がずらーっと並んでいるんですね。これは私がスープ作家というかなり特殊な職業だからで、たいてい鍋はキッチンにあると思います。さらに、雑誌のキッチン特集なんかを眺めていると、キッチン道具を「出す人」「しまう人」「つるす人」の3タイプがあるように見受けられます。みなさんのキッチンはどれですか?

私はずっと「しまう派」でした。そもそもが散らかし屋なので、料理をはじめてなるべく広く場所を使えるようにしたかったのです。鍋はすべて流しの下、調味料やスパイスも棚の中、菜箸やおたま、包丁といったキッチンツール、ラップやホイルなどの消耗品も引き出しです。コンロの脇にツールスタンドを置いていたり、おたまをつるしているキッチンの写真を見ると、こういうキッチンで炒め物や揚げ物はあんまりやりたくないなー、と思っていたんですね。

でも、リノベーションしたときに、一度道具をひきだしから全部出して眺めてみました。そしたら、本当に毎日欠かさず使っている道具は案外少ない。必需品だと思っていたものでも、パスタのトングやフライ返しみたいに、1週間に1度しか使わないものもありました。絶対に毎日使う道具だけを選んでみたら、数えるほどしかなかったのです。

このぐらいの量なら出しっぱなしでもいいかもしれないと思い、これまでのルールを少し変えて、最低限のものは出したりつるしたり、見えるところに置いて、ワンアクションで使える形にしました。

調理中、すぐ手の届くところに円筒形のツールスタンドが置いてあります。菜箸が3~4組、おたまとシリコンベラ2本ずつ、しゃもじと取り分けスプーン1本。仕事柄、菜箸やおたまやヘラは人より多めに持っていますが、これだけはないと困るという本数だけ。
また、はさみ、計量スプーン、ピーラー、計量カップは冷蔵庫のサイドにつけたフックにつるしました。調理中にいきなり使うことの多い道具は、探さないよう、決まった場所に定位置を作ります。ミニおろしがねだけは毎日使うけれど小さいので引き出しに。私の「キッチンのスタメン小道具」です。

引き出しや棚にしまう、いわばベンチ入りの道具も、種類で分けるのではなく使う頻度で分けました。よく使うものは取り出しやすい上の段、シーズン性のあるものやたまにしか使わないものは下の段。おたまなんか、ツールスタンド、引き出しの上の段、下の段と、全部に入っています。下の段のツールはベンチ入りというよりは、2軍みたいな感じでしょうか。

こうして料理をはじめると、引き出しを開けることが本当に少なくなったことに気づきました。日常の料理は上に書いたツールで事足ります。目に見える部分もすっきりで、しまうと出すとつるすのいいとこどりができました。

どんなに忙しくても自分の手は2本きり。一度にできる作業はひとつです。断捨離するよりも、こうして「自分との距離感」をはかっておくほうが無理がないし、捨てるときの目安もしやすいです。キッチン道具だけでなく、服や本なども整理できるのかもしれませんね。

シンプルな料理でも、意外とちょこちょこ道具を使うんですよね。欲しいものがすぐ手に取れるキッチン、快適です。

【ほうれんそうのナムル】
材料(2人分):ほうれんそう1/2束 にんにくすりおろし小指の先ぐらい 砂糖、醤油、ごま油各小さじ2 ごま油少々 すり白ごま 小さじ2 

1 ほうれんそうは根元中心によく洗い、たっぷりの湯で2分半ほど返しつつゆで、水にとってぎゅっと絞る。これを4センチ幅に切る。
2 ボウルに調味料を入れ、にんにくをすりおろして入れ、ほうれんそう、白ごま、ごま油少量を加えて菜箸でよく混ぜる。

読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。