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はるさめはキッチンのお守り

常温保存できる乾物は、長期保存できること以上に、生の食材には出せないうまみや味わいがあって、私はけっこう常備しています。何を買い置きしているかは、家庭によってかなり違うものみたいですね。

かつおぶしや昆布、椎茸、煮干しのような、だしになるもの。ドライフルーツやナッツ、麺類、粉類。こういうのは目的も使い方も割とはっきりしていますよね。
料理に使うものは、みんな何を使っているか、知りたいです。私が必ず家に常備しているものといったら、切り干し大根、ひじき、わかめ、のり、きくらげ、桜えびか干しえび、お麩、豆、寒天……。このあたりでしょうか。やっぱりスープにちょっと寄っているかもしれません。

乾物は常にあるものと思い込んでいて、いざ使うときになかった!ということも多いものですが、切らして最も後悔する乾物といえば、私の場合はやっぱり「はるさめ」です。
さっとゆでて炒め物やサラダに使ったり、中華風のスープや鍋にそのまま入れて煮込むこともできます。でんぷんなのにおかずになるのがありがたく、それは何を意味するかというと家族の満足度に直結する「ボリューム感」があるということ。

わが家で食材がほとんどないときに登場するメニューが、麻婆はるさめです。豚のひき肉が冷凍してあることが多いので、はるさめを買い置きしてあればメインのおかずが1品作れるというわけです。切る手間もなく、お湯でゆでてザルに上げたらすぐ使えるはるさめは気楽です。水分を吸うので最後に片栗粉でとろみをつけなくてもいいのもひと手間省けてありがたい。

煮込みに向くのはコシのある緑豆はるさめです。中華鍋か深めのフライパンに湯をわかしてはるさめを2,3分ゆでてザルにあげ、空になった中華鍋に油をひいてひき肉をしっかり炒めます。少し手間をかけていいときは豆板醤、甜面醤を使って本格的に味つけしますし、もっと楽をしたいなら、砂糖と酒、醤油にラー油を使ってピリ辛の炒め物風にします。にんにく、しょうが、長ねぎはやっぱり欠かせません。

春の雨と書くとおり、美しい春の雨みたいな細くなめらかな春雨が、濃いめの味付けのひき肉だしをどんどん吸い込んでいきます。みじん切りの長ねぎを混ぜて最後にごま油をまわしかけ、中華鍋から大鉢にひき肉の絡んだ春雨をすべり込ませた瞬間、食欲のメーターが振り切れます。たいていの場合少し作りすぎるのですが、残ることはまずありません。

こういう駆け込みメニューを1品持っておくと本当に気持ちが楽になれます。はるさめはいざというときに切れる、強力なカードなのです。
なんだか今日は非常に個人的な話になってしまいましたが、自分が使い倒せる乾物を何か持っていると、お守りがわりになります、という話でした。

【最後の砦の麻婆はるさめ】
材料:豚ひき肉150g 緑豆はるさめ50g にんにくみじん切り・生姜みじん切り各小さじ1  長ねぎ1/2本 サラダ油大さじ1 豆板醤小さじ1 甜面醤大さじ1 砂糖大さじ1 酒大さじ1 醤油少々 ごま油適宜

1 中華鍋に湯をわかし、はるさめを入れて2~3分ゆで、ザルに上げる。
2 湯を捨てた中華鍋にサラダオイルをひき、豚ひき肉を色が完全に変わるまで炒める。調味料をすべて入れ、水100mLを加える。
3 春雨を加えて3~4分煮込む。ネギをみじん切りにして加えて混ぜる。味をみて醤油でととのえ、火を止める。器に盛り、ごま油をふる。    



読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。