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塩だけで、どこまでいけるか

さ=砂糖、し=塩、す=酢、せ=しょうゆ、そ=みそ。
これが、料理に使う基本調味料です。料理の「さしすせそ」なんて言います。(ちなみにしょうゆは旧仮名遣いの「せうゆ」です)
世の中に便利な調味料はいっぱいあるのですが、料理上手な人ほど基本調味料で十分と言います。混ぜて好きな味を作り出せるから。

でも、味を混ぜる前に、基本調味料の単体使いでどこまでできるかを考えてみましょうか。

たとえば、塩だけの料理。

ちょっといい塊肉やステーキなんか、塩だけで食べたらシンプルで豪快ですね。てんぷらの海老や山菜、アスパラなんかはてんつゆより塩がおいしい。とんかつは普通ソースかけますが、ワインを飲むとき塩だけパラっと振って食べるのは案外いけます。イワシにオリーブオイルと塩をふってグリルで焼いたらポルトガル風。

卵料理は、ゆでたまご、めだまやき、オムレツ、スクランブルエッグなんか、塩でじゅうぶんです。

塩だけ野菜料理なんて、無限に作れます。青菜の塩炒め。かぼちゃの塩煮。れんこんを皮ごと輪切りにして焼いて塩を振る。フライドポテトだって、塩味オンリーです。れんこんを厚切りしてオイル焼きして塩ふるのはわが家のお気に入りの食べ方です。
蒸したりレンジで加熱したじゃがいもやさつまいも、とうもろこしに塩だけふったら立派なお昼ごはん(これはバターも欲しくなりますが)。トマトやキュウリはよくよく冷やして塩をふって、まるごとどうぞ。

Twitterで紹介したらすごくたくさんの人が作ってくださった名作「コロコロごぼう」は、その名の通りごぼうをコロコロに切って、片栗粉をまぶしてサラダ油でじっくり炒るように焼いて、塩をまぶすだけ。おつまみにも、お子さんのおやつにも好評です。

実はスープは塩だけのレシピが結構あります。ミネストローネは塩だけで作ります。ポトフも調味料としては塩だけです。クラムチャウダーみたいなミルク味のスープも、かぼちゃのポタージュ、コーンポタージュも塩だけで成り立ちます。

胡椒は?っていう人もいるかもしれませんが、習慣で使われることも多く、それほど必要ない料理が多いんです。(ちなみに、胡椒をはじめスパイスは香りをつけるもので味はつかないため厳密には調味料とは区別します)
使うとしても胡椒は最後。塩と胡椒が一緒になっている商品よりバラがいいです。あ、今持っている人はそのまま使ってくださいね。便利ですし。

塩だけで料理をしていくと、素材の味がよくわかります。私の本には塩だけスープのレシピが山ほどあります。わざとではなく、塩だけ入れて味見してみたら、あれ、これでいいじゃん、ってなるからそこで止めているだけなんです。昔は習慣で胡椒を入れたりコンソメ入れたりしていましたが、やめても全然平気でした。

そうそう、よく「おすすめの塩は?」と聞かれるんですが、ほとんどの料理は一番安い精製塩で大丈夫です。肉なんかにちょっと粒子の粗い塩ふったりするのは、いいかもですね。

さあ、塩だけでこんなに料理ができました。醤油だけ、味噌だけ使っておいしい料理ももちろんあります。単体で調味料を使い倒したら、次はいよいよ味付けの組み合わせの出番です。基本調味料の「砂糖」と「酢」が大活躍します。

【味つけは塩だけ、かぼちゃのポタージュ】
材料(2人分):かぼちゃ 小1/4個 バター25g 塩少々

1かぼちゃの皮をむいて薄切りにして厚手の鍋に入れる。
2塩一つまみと水100mLを加えてしっかりふたをして、中火で約10分蒸し煮する。ふたを開けてそのまま加熱して残りの水分を飛ばしつつヘラでつぶす。
3バターを混ぜ込んでから水で少しずつのばして好みのとろみをつける。最後にもう一度塩で調節する。

読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。