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こちら、キャベツとアンチョビのペペロンチーノでございます

家で料理を出すときって、みなさん何も言わずに出していますか?

夫とレストランで食事をしたとき、夫の頼んだメニューに小さなポタージュがついてきました。ふわりとトウモロコシの香りがしたような気がして、夫にそれコーンポタージュ?と聞いたら「わからない」って言ったのです。

ポタージュの味がわからないというのは意外なようですが理解できます。見た目や食感から手がかりが得られないため、舌の感覚だけでは何の野菜か当てづらいのです。人は、自分が食べるものが何かがわかっているほうが味を鮮やかに感じることができる。これは確かだと思います。(私はポタージュを作るときには野菜を少し残しておいて、形のあるものをトッピングしたり添えて出すことが多いです)

おまけの薄いポタージュはともかく、レストランで何かを食べるとき私たちは自分が何を食べているか知っています。メニューを見て「キャベツとアンチョビと桜えびのペペロンチーノください」と注文しているからです。よほど意味不明な料理名のときは、お店の人に聞きますよね。たとえば「この“春の海のペぺロンチーノ”って何ですか?」とか。で、何が出てくるかわからないフレンチなどのおまかせコースだと、サービスの方が全部説明してくれます。

さて、家のごはんはどうでしょう。肉じゃがや唐揚げ、豚汁のような定番料理は説明不要ですが、レシピ本を見て初めて作ったような料理を出したとして、食べている人は本当にその料理がキャベツとアンチョビの入ったペペロンチーノだとわかって食べているのでしょうか。知らされないまま食べているとしたら、作った人ほど食材を味わえていないかもしれません。

ある男性料理家さんとお話をしていて、男性はレストランのメニューの半分ぐらいはわかっていない人が多いかもしれないという話を聞きました。思い返すとうちの夫も私が出した料理に対して、いったいこれはなんだろう……といぶかしんでいる様子が見てとれることがあります。

知っていたほうがよく味わえるということのほかにも、人は口に入れるものについては警戒心が強いので、不安を消すためにもどんな料理かということを最初に説明しておくのは理にかなっています。

と、いうことで私は最近料理を出すとき「豚肉と空心菜ときくらげの炒め物です」「ハンバーグに、大根おろしとしょうがのソースです」「ほたるいかのアヒージョ、つまりオイル煮でございまーす」なんて言いながら出しています。小松菜とチンゲンサイと空心菜の区別、うちの夫はもしかして微妙かもしれません。

みなさんも料理をがんばったときは、メニュー名を(中身がわかる程度の名前がいいです)家族に伝えてみてはいかがでしょう。

【キャベツとアンチョビのペペロンチーノ】
材料(2人分)キャベツの葉2枚、アンチョビ1/2缶(10gほど)、にんにく1片、鷹の爪1本、塩、オリーブオイル

1キャベツは手でちぎる。にんにくはみじん切り。
2フライパンにたっぷりのオリーブオイルを入れ、にんにくと鷹の爪を加えて弱火で加熱する。油を切って刻んだアンチョビを加える。
3熱湯に塩(分量外)を入れてパスタを入れてゆで始める。ゆであがる2分前にキャベツを入れて一緒にゆでる。キャベツを入れたらソースを温め、ゆで汁を少量加えて混ぜとろりとさせる。ゆであがったパスタとキャベツをザルに上げてよく湯を切り、ソースに混ぜる。味をみて塩で味をととのえる。

※「春の海のペペロンチーノ」にしたい人は桜えび、入れてくださいね。



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