|22|からつづく
2⃣リズムの良い場所、呼吸をする場所でテンを打つ
谷崎潤一郎『文章讀本』より。
「句読点と云うものも宛て字や仮名使いと同じく、到底合理的には扱いきれないのであります。(略)読者が読み下す時に、調子の上から、そこで一と息入れて貰いたい場所に打つことにしております」
日垣隆『すぐに稼げる文章術』(幻冬舎)より。
「敢えて呼吸をせずに一気に読んでもらいたい箇所には句読点を打たず、リズムとして一呼吸置いてほしいというところに句読点を打つのが原則です」
リズム、調子を整えて一息入れてほしいところに打つ。
私もそれが鉄則だと日々感じています。
では、実際の文章の例を見てみます。
直木賞作家馳星周さんの山岳小説『青き山嶺』より。注釈すると、大学の山岳部の仲間、俺(得丸)と、池谷と若林の友情や葛藤を描いたシーンです。
馳星周さんは文章が上手です。読みやすくわかりやすい、リズムもある文章を書きます。読点の打ち方を見ても、それらを損なわないのがよくわかると思います。
つぎは、芥川賞作家平野啓一郎さんの『ある男』より。あらかじめ言っておきますと、読点の数はかなり多めの文章を書く作家です。
つぎは直木賞作家・西加奈子『舞台』より。
これもかなり読点は多い文章です。
読点が多く、削っても意味は通じると思われます。
あとは好みの問題ですね。
そこは書き手の自由です。
|24|につづく