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2020年7月の記事一覧

長所を磨いて、自分だけの創作の切れ味を大事にしよう|川越宗一 インタビュー

 趣味として書き始めた小説を改稿の上、松本清張賞に応募した『天地に燦たり』でデビュー。長編二作目『熱源』が初ノミネートで直木賞を受賞。多くの物書き志望者の夢を最速で実現したように見える川越宗一氏。  『熱源』では、樺太だけではなく、ウラジオストック、サンクトペテルブルグ、東京を舞台に、日本人にされそうになったアイヌとロシア人にされそうになったポーランド人を主人公に物語が展開する。なぜこんなにもスケールの大きな小説が書けたのか、どうしてこの小説を書こうと思ったのか。受賞後の多

#1 あなたとはもう別れたい

40歳の香澄は、ドラマの人気脚本家。夫への愛情を見失う私生活を送るなか、27歳のダンサーと出会う。夫にはない肉体美に魅せられて、一線を越える香澄。愛欲に溺れて女の喜びを初めて知るが、嫉妬に狂う夫の激しい抵抗にも遭い、仕事も金も失う……。新堂冬樹さんの『不倫純愛』は、エロス・ノワールの到達点ともいえる官能的作品。男性読者にも、女性読者にもオススメできる本書から、物語の冒頭をご紹介します。 *   *   * 1 洗濯機のポケットに洗剤と柔軟剤を入れた香澄は蓋を閉めスイッチ

新潮新人賞のこと

もう一年前のことなんですが、なんだろ、やっぱり記録に残しておきたい部分もあり、書いておこうと思います。 一昨年の十月、わたしは「新潮」を買った。「小川榮太郎氏の全著作を読んで俺は泣いた」というタイトルの高橋源一郎氏が書いたものが読みたかったのだ。当時新潮45という雑誌がこの小川氏や杉田水脈氏が書いたLGBTに関しての投稿によって物議をかもし、廃刊になるという事件があった。杉田氏の「LGBTは生産性がない」という発言には怒りを感じたが、その次の号に小川氏も同様にLGBTを痴漢