【新・陰陽師】新作歌舞伎から歌舞伎座デビューした歌舞伎初心者の話
はじめに
\バーチャルとアナログの架け橋になりたい/
こんにちは。かおるえねこと申します。
世界の片隅、バーチャル界隈でしがないVtuberをやっている者でございます。
今回は新作歌舞伎『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』
通称FFⅩ歌舞伎にすっかり魅了された歌舞伎ミリしらのわたしがはじめて古典歌舞伎を見に行く話、歌舞伎座デビューのレポートを書かせていただこうと思います。
「FFⅩ歌舞伎から古典歌舞伎に行く人は1万人に1人もいないだろう」というツイートをみましたが、「ばかやろう!!!おれが1万人に1人の女だ!!!!」の気合でいってきました。
わたしと同じようにこれから歌舞伎座に行ってみよう!とおもいはじめた方の参考になればとおもいます。
とはいえ、わたくしかおるえねこはFFⅩ歌舞伎の「ほとんど現代語」の歌舞伎しか見たことがありません。
かなり不安があります。大丈夫なの?本当に???言葉わかるの?
そんな不安を抱えていくことになるのですが、
まずは歌舞伎に対するイメージ、また歌舞伎座にいくまでの話をお話しようと思います。
ちなみに役者さんは誰一人存じ上げません。
新・陰陽師の知識は「すげー占い師が紙で戦う」くらいです。
対戦よろしくおねがいします。
歌舞伎座に行くまで
さて。わたしがいざ歌舞伎座にいくまでの話です。
歌舞伎ミリしらのわたしがすっかりFFⅩ歌舞伎に魅了されて3度舞台にいってすぐの頃です。
勿論FFⅩという若かりし頃の想い出を舞台化してくださった事、そして役者さんや裏方さんのすばらしさに感銘を受けました。
しかし同時に思ったのは新作歌舞伎というものは歌舞伎役者さんにとって少なからずアウェイではないのか?
ということ。
どのインタビューを見ても「不慣れでしたががんばりました!」「新しい挑戦でした」というお話が多かったのです。
そしてこれを見て感じたのは
こんなに素晴らしい役者さんたちが本気(古典歌舞伎)を出したらどんなものがみられるのか。
という純粋な興味でした。
役者さんの圧倒的なお芝居、黒衣さんの細やかさ、雄大な音楽、お衣装の美しさ。壮大な世界観。それらが”本気を出したらどうなるのか”
単純に「百廻り格好良い!」「ぶっかえり~~~!!!」「見得~~~!!!」「附けうお~~~~!!!」という頭の悪い衝動的な感想もありましたが、FFⅩ歌舞伎を見終わった後には古典歌舞伎への興味がわいていました。
また、こうなるまでの間にはもうひとつ理由がありました。
ツイッターでFFⅩ歌舞伎のレポがぷちばずりした。
ものすごくミーハーではありますが、純粋にうれしかったのです。
「FFⅩから入って歌舞伎を見に行くのはミーハーで、歌舞伎ファンからしたら面白くないのではないか」という思いが少なからずあったのですが、歌舞伎界隈のみなさまはほんとうに心が広かった…。
歌舞伎に興味を持ってくれてありがとう。
そんな声を多くいただき、やさしい世界へと足を踏み入れる勇気がわきました。この場を借りてフォロワーのみなさまにお礼申し上げます。
古典歌舞伎に入るのを悩んでいたわたしの背中を押していただきありがとうございました。
そうだ。古典歌舞伎に行こう
さていざ古典歌舞伎にいこうと思い立ちましたが、どこに何をみにいけばいいかがわかりません。
しかし疑問のひとつひとつをツイートするとどこからともなく歌舞伎界隈の方がやってきてくださって「こうしたらいい」「これを見に行くといい」と教えてくださいました。
ただこの時点では知らない単語が多く、新しい情報ばかりでかなりのキャパオーバーを起こしていて情報をきれいに整理できませんでした。
そこでとりあえず「歌舞伎美人というサイトをみるといい」というツイートをまず参考にすることに。
どうやらこの歌舞伎美人でチケットをとるようです。
とりあえずサイトを見てみましたが、正直な感想を申しますと新規にやさしくないのない宣材だなというのが感じました。
役者も演目もわからないわたしにとっては、そのポスター(チラシ)がまったく面白そうに見えないのです。
わたしが行こうとした4月は「新・陰陽師」と「連獅子」という演目だったのですが、あらすじもとても難しくわかりにくくて…ここで一度「やっぱりやめようかな…」という気持ちになりました。
そこでTwitterで「新・陰陽師のティザーPV」をいただいたことでまた気持ちが変わります。
それがこちらの動画なのですが、これをみるとみなさんめちゃくちゃカッコイイ…!音楽も臨場感があるし、映画のPVみたい!
これならわたしもみられそう!
そう思い、とりあえずここでチケットをとることにしました。
勢いってだいじ。
ただFFⅩ歌舞伎から入ったわたしにとっては「歌舞伎って前編と後編があるもの(そして9時間コース)」という先入観がありました。
けれども歌舞伎美人からとれるチケットは前編のみ、または後編のみ…。
まあ、とりあえず前編でついていけそうなら、後編も当日買えるかな?そんな気持ちで前編のみ購入をしました。
※このあと知ったのですが全編と後編はまったく別のお話なので、2枚チケットをとる必要はないそうです。
チケットは一番遠い席で4000円。
歌舞伎はもっと高尚でお金持ちがいくものだと思っていたので、意外と高くないお値段で驚きました。
そしてフォロワーさんからお聞きしたいくつかの事前情報を持っていざ歌舞伎座へいきます。
何もわからなかったのでとりあえずリクルートスーツでいきました。
ここでようやく歌舞伎座に到着。
銀座には何度か行くことが合ったけど東銀座に降りたのは今回がはじめて。
歌舞伎座の外観もはじめてみたので「おお…ここが歌舞伎座…!」ととりあえずミーハー丸出しで写真を撮りました。
歌舞伎座は東銀座から直結で、お土産屋さんもあったりと銀座から来るよりも「歌舞伎!!!!!見に来ました!!!!!」という気持ちになりワクワクするミーハーえねこ。
フォロワーさんから聞いた話によると、みなさん幕間(まくあい)にお席でお弁当を食べるようです。
何を食べていいかもわからず、周りがみんなお金持ちであるという先入観からとりあえずそこそこ高いお弁当(1800円)買いました。
しかし実際はみんなおにぎりやサンドイッチを食べていた。
次からは気負わず普通のごはんでいいな~と思いましたが、今日ははじめての歌舞伎座です。こんな思い出があってもよいでしょう。
お弁当おいしかった。
そしてその後は歌舞伎座横のお稲荷さんにお参りをして、自身の芸事の上達を願い、記念に筋書(パンフレット)を購入しました。
この筋書ですが、演目のあらすじや役者さんのお写真が載っているもので、20日(演目後半)以降に購入すると演目のお写真が入るそうです。
これは後から知ったので、後日買えばよかったな~と思ったのですがこれもまた思い出。今も大事にとってあります。
そしてあらすじなどを見返すことができて幕間の時も楽しんで読むことができましたが、正直な話このあとおはなしするイヤホンガイドと無料のチラシがあれば なくても困らないものだと思いました。
その後は入口でイヤホンガイドを借りるといいと言われたのですが、まず結論から参ります。
初心者は絶対借りろ。
借りるといいではない。借りろ。
ほんっっっとうに古典歌舞伎は何言ってるかわかんない。本当にわからない。イヤホンガイドがないと詰む。ほんとうに詰む。お値段は800円です。ぜひ借りてください。
イヤホンガイドを使うまで「ガイドに集中してしまって演目が楽しめないのではないか?」という不安があったものの、
実際に使用してみると全くそんなことはありませんでした。
まずイヤホンが片耳なので、もう片方の耳で演目を楽しめる事。
そしてさりげなく役者さんの名前や「これは見得っていうんだよ~」という初心者向けの豆知識、「今この人はこんなこと言ってるんだよ。こんな風に思ってるんだよ」というおおまかなあらすじや台詞の内容を教えてくれるのです。
これで言葉がわからなくてもなんとなくあらすじは掴むことができます。
また、幕間の時には「これまでのあらすじ」をわかりやすく説明してくれるので、演目を見ている時にはわからなかったことも「ああ、こういうことだったんだ」と整理できるのもよかったです。
ちなみにリクルートスーツで出陣したはいいものの、周りの人はみんな私服でした。長い時間座っていることになるのでとにかく楽な恰好が良いと思います。
幕間では席でお弁当を食べましたが、3階席はめちゃくちゃ狭いです。
大柄な男性には少し窮屈かもしれないので、お席ではなく早めに廊下に出て、そこでお弁当を食べるのがいいかなと思います。
あとは3階ではめでたい焼きという焼き立てのたい焼きがうっています!
こちら遅い時間になると売り切れてしまうこともあるみたいなので早めに買うといいみたいです。中には紅白の白玉が入っていてもちもちとサクサクでとーってもおいしかったです!
もうひとつ忘れていました。
歌舞伎座のお席では携帯電話の電波が入りません。LINEなどをする際は廊下に出る必要がありました。
ご注意ください!
あとわたしが見ているとき両隣のご婦人は夢のなかに旅立っていたので、あまり身構えずにリラックスして観劇していいみたいです。
気付かせてくれてありがとうご婦人。
これが古典歌舞伎…【新・陰陽師】…!
さあ。いざ本題です。
新・陰陽師がはじまります。
歌舞伎というものを知らなかったので、精巧にできた舞台セットに驚き、そして安倍晴明がなかなか出てこない事に驚いた。
はじめての古典歌舞伎ということで、正直な話なかなか展開に追いつけなかったのが事実ですが
歌舞伎の附けの音や義太夫さんの語り、すべてが素晴らしかったです。
お衣装の艶やかさが素晴らしく、FFⅩ歌舞伎とはまた異なる色と鮮やかさ。
特に女方さんの朱色が素晴らしく、派手すぎず下品ではない、上品であり高貴な色味が女方さんの気品を引き立てていました。
篠笛や鼓、三味線の音は日常生活では聞き慣れないながらも、どこか懐かしい気持ちにさせる、耳馴染みのよい音だと感じるのはわたしが日本で生まれに本で育ったからこその体に染みついているからかもしれません。
附けの音は劇場全体を駆け回るように高く響きます。
静かな空気を破るように駆け回り、役者さんがそれを纏ってかけてゆくのです。
また黒衣さんも素晴らしく、役者さんの動きひとつひとつに丁寧に寄り添う姿は長年付き添った夫婦のようにも見え、いかに普段から役者さんの為人を理解しているのかが伺えました。
やっと出てきた安倍晴明(隼人さん)は線が細すぎず美しい方でした。
お顔まわりの骨格だと思うのですが、体躯がしっかりしている方はやはりどんとした貫禄があるというか遠目でみても身分が高いのかなと伺えます。
それに併せてお衣装も肩幅があり、鷹揚と歩く足取りがそう見せてるのもあるのかな。
異なり、市川染五郎さんは線の細い美丈夫で、糸滝に一目で娘に惚れてしまうところも含め”若者”という表現がふさわしく、頬を染めあう姿が睦まじかった。
飛び跳ねるキツネは愛らしく、戦うムカデは格好良かった。
バク天をしたり見得をとるたびに所作台をどんと踏みしめる音。
台詞はなくとも音だけでその場の視線を集め、動きで釘付けにさせる技術が素晴らしい。
また檜で出来た劇場だからなのか、会場全体の音響効果が凄い。
床を滑る着物の音まで三階席に届き、和楽器の調べや語りも鼓膜の音まで届き、響く。
女方さんのしとやかでいて、したたかさすら感じる魅力。
儚く、弱い、それでいて芯に強いものを感じさせる女という生物の本質。
所作の一つ一つが美しく、視線の落とし方に感情が宿り、女の生々しさを感じさせない”芸術としての女”がそこにある。
所謂ファンタジー。
舞台に立っていた女方さんは、”生活をするリアルな女の像”ではなく、美術館に飾られてもおかしくない”生きる芸術”なのだ。
そこがまた現在のエンタメ、ドラマや映画との差なのだと思う。
FFⅩ歌舞伎を見た時も感じたことですが、
歌舞伎という芸術はまさしく「静と動」だと思いました。
流れるようなドラマやミュージカルとは違う。
台詞を言う「その瞬間の主役」が前に出た時、ほかの役者は息をやめてしまったかのように止まる。人形のように。
まるで主役にスポットライトがあたり、その他の人は真っ暗闇に飲まれているかのような効果が生まれたのだ。
静かに息を止め、その場でぴたりと動きを止め、主役が交代したときにまた時が動き出す。
その静と動がほんとうに素晴らしかった。
またお衣装や所作などで大柄でいかにも強そうに見える役者さんの立ち廻りは荒々しく、所作の美しい安倍晴明は涼しい顔をして汗ひとつかいてませんが???の動き。
正直、これがはじめての古典歌舞伎なので話をうまくとらえきれておらず、ただただひたすらその表現方法や熱に捕らえられてしまっておりました。
そしてこちらも後半は語らずにまいりますが、何がびっくりしたって突然
「ここでこの話はおしまい。歌舞伎はこんなこともあります!」
ってイヤホンガイドが話をしめた。
そんなことある!?!?!?!?
あるらしい。
話はいいところで終わってしまいましたが、もともとは江戸時代の商売。
評判がよければ続きをつくる、という脚本だったようなのでこういう終わり方も多いそうです。
いいよ、また見に来るから。
続きも絶対みにくるから。ぜったいくるからな!!!!!!!!
あともういっこびっくりしたのはさ。
飛んだんだよ。
ピーターパン猿之助
まさか歌舞伎で人が飛ぶなんて思わないじゃないですか。
飛んだんですよ。話が終わった後に。 なんでとんだ?????
わたしは歌舞伎座の3階席の一番左側にいたのですが、
宙を踏みしめるように空中を歩いてきた。猿之助さんが。
あんなふうに宙を踏みしめるのって物凄い技術がいるのではないか…?
いろいろと驚きがつまっていたわたしのはじめての古典歌舞伎はここで幕を閉じます。
帰りにお茶をして帰ろう
興奮さめやらぬ状態で舞台を終えたところで、どうしても誰かにこの興奮を語りたくなり友人に電話をしました。
「今から30分で銀座に来て」
驚きながらも友人は30分で来てくれました。
ありがとうございます。
その後は歌舞伎座からすぐの歌舞伎座タワーにある「寿月堂」というお店でモンブランを食べたのですがとってもおいしかった!
モンブランが大好きで3000円のモンブランも食べたことがあるわたしですが正直どこのモンブランよりも一番おいしかった。
ぜひ行くことがあったらこちらもいっていただきたい。
完全なる歌舞伎初心者なため、失礼な言葉、無知ゆえの間違いも多々あるかと思いますがここまで読んでいただきありがとうございました。
このあとはまた古典歌舞伎にいきました。
次は中学生になったばかりの妹と明治座にいったお話をさせていただきたいと思いますので、またお会い出来たら幸いです。
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