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老いて、兄弟姉妹の関係性って変わりますか?(藤村公洋)

老いの進捗状況

曲がりなりにも老いをテーマにしているのだから日々更新される老いの進捗状況を具体的にレポートするのは50代も半ばを迎える我々の役目ではないか、といった本分を急に気にし始め、前回は“頭髪”、前々回は“老眼”のご報告をしてまいりました。なんたって羅針盤ですからね。

いわゆるそもそも論ですな。
おっとっと。初めて使った言い回しだ。使い方合ってるかしら。

あのね、言い回しで思い出したけど「ワンチャンある」って使うでしょ、最近ね。
「めちゃんこ」や「バッチぐー」が後期昭和言葉なように、「こないだ上司?と和食?食べに行ってさ」といった半疑問形が前期平成言葉なように、「ワンチャン」は「確かに」と同じくここ数年で急に伝播した初期令和言葉と言っていいと思うんですよ。
でね、「確かに」はわかる。うん。使い方はわかるけど敢えて使わない言葉のひとつではありますが、「ワンチャン」がね、イマイチ使い方がわからなくて未だ発語することができないのですよ。

バーテンダーとしてカウンターに立っていると若いお客さんが頻繁に発するのね。
“1回チャンスがある”ってことでしょ?基本的にはさ、おそらくね。でももっと広い意味の使われ方してるじゃないですか。「ヤバい」に否定と肯定どちらのニュアンスも入ってるのと同じようにね。ここでその例えを出すこともできないくらい把握できていないのがもどかしいのですが、それとは別に、その言葉を聞くたびに、「いやいや諸君、チャンスは1回じゃないよ、何度だってあるんだよ。竹内まりやの『元気を出して』でもそう歌われてるじゃないか」と彼彼女らにとってはまったく的外れであろう感慨に耽ってしまうのがね、思えば遠くにきたもんだ的に自らの老いを実感するひと時だったりするのですよ。

でね、ちょっと気持ち良くなる。

老いを実感するひと時ってのは切ないじゃないですか。でもって切なさってのは実のところ心地いいものでしょ。片思いとかさ、遠距離恋愛なんてドーパミン出まくりで多幸感ハンパないものね。切なさや哀しさだって娯楽たりえる、QOLにとって大事なピースの1つなんだ、というのは老いの羅針盤としてワンチャン伝えていきたいものですな。(ワンチャン使い方間違ってるだろうけど)

まあそんなわけで老いの進捗状況、今月は歯です。ちょうどね、数日前に3ヶ月ごとのクリーニングを終えたばかりなんでね、歯の老いとはこれいかに。

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