老いて道に迷ったときに立ち戻る、かもしれない「人生の原点」は?(小原信治)
「何を見ても何かを思い出す」
なんて詩的でロマンチシズムに溢れたフレーズなんだろう。この1行だけで幾多の物語が立ち上がってくる。茜色に染まる空。さざ波の上を飛んでいく海鳥。校舎の影。坂道を下っていく自転車。サバンナの大地。眠っていた記憶を呼び覚ます様々な情景が甦ってくる。
「何を見ても何かを思い出す」
「老人と海」で知られるヘミングウェイの短編だ。息子が書いた小説を読んで「どっかで読んだことがあるな」と訝しんだ父親に対して「父さんは何を見ても何かを思い出すよね」と返した息子の台詞がタイトルになっている。
今月の映画メシ作品、10月7日に公開された『七人學隊』もまた「何を見ても何かを思い出す」映画だ。
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