見出し画像

老いて、みんなに知られているのと知られていないの、どっちがいい?(小原信治)

わからないことはわからないままでいい

「わからないことはわからないままでいい」と藤村くんは言った。それが映画「#ミトヤマネ」の感想でもあった。ゲストには監督の宮崎大祐さんがいらしていた。聞く気にさえなれば(放送できないことも含めて)何でも質問できる。それでも藤村くんは「監督に聞きたことはないです」と言い切った。「わからないことはわからないままでいい」と。そこに彼の生き様というか、世界との向き合い方が現れていると感じた。

 白黒はっきりしなければいけないという空気が蔓延している。賛成か反対か。支持するかしないか。右か左か。保守かリベラルか。マスクはつけるかつけないか。ライスかパンか。バリカタかバリ柔か。すべてにおいて極端な意見だけが持て囃される風潮だ。SNSにショート動画。限られた時間でより多くの人に思いを伝える為に、極端な、かつ強い言葉が選ばれるようになったせいでもあるのだろうか。見方や解釈によってどうとでも取れる表現は「玉虫色」と批判される。オチや結論のない長い話は聞いてさえ貰えない。そういう時代において「わからないことはわからないままでいい」と言い切るのはとても勇気がいることじゃないだろうか。事と次第によっては「無責任だ」とか「お花畑だ」等と揶揄されることもある。何より「知りたくない」と答えを聞くのを拒否することは自分の中で渦巻く「わからないという不安」を受け入れることでもある。

ここから先は

3,275字 / 2画像

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?