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老いて最後の人類のひとりになったとしたら、誰に何を語りますか?(藤村公洋)

ヨハン・ヨハンソンとは

ヨハン・ヨハンソンを画像検索するとたいていは眼鏡をかけている顔が出てくる。スキンヘッドに近い短髪に対して顔の下半分は髭で覆われ、大柄な体躯、黒い服ばかり着ている。
’69年生まれは僕や小原くんと同世代であり、2018年2月9日、令和の時代を見ることなく48歳で亡くなっている。
もちろんね、アイスランド出身でもってベルリンで死没した彼に令和も平成も昭和も江戸も関係ない。いまわの際に「コトシデヘイセイモサンジュウネンダナ…」なんてことは考えない。だとしても、だ。一旦はこちら側の基準にぐっと引き寄せて捉えるのがワタクシの映画メシにおける流儀である。流儀は大袈裟だな。ちょっとカッコつけすぎだ。まあつまり、習慣でございます。

今回ご試聴いただける『渋谷のラジオの惑星』アーカイブは2021年8月3日放送分、『最後にして最初の人類』での映画メシ企画になります。
ぜんぜん関係ありませんが『村上朝日堂』という村上春樹初期のエッセイでね、食堂などで「お待たせしました〜、カレーライスになります〜」といって商品を提供する接客言葉があるじゃないですか。あれが気になるっていうネタがあったんですよ。「おう、じゃあカレーライスになってもらおうじゃねーか」って気分になるってね。それ以来(ってもう35年くらい経つのか、ひえ〜)自分が接客するときも「カレーライスです」「ジントニックです」と言いきるように心がけてきたのですよ。だから書き言葉でもさっきみたいに「〜での映画メシになります」なんて書くと自分の中にいるツッコミ担当が「おう、じゃあ映画メシになってもらおうじゃねーか」と口を挟んできたりとうるさいのです。そりゃあ僕自身が映画メシそのものに変身できたらバーバパパみたいで楽しいでしょうがね。

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