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老いてこそ必要だと思う異文化交流は?(小原信治)

北極圏で教わった太陽の有り難み

 主人公の女がコンパートメントの扉を開けた瞬間、声を上げていた。自分でも驚くくらいの大きな声だった(オンライン試写で良かった)。先客がスキンヘッドで酒浸りの粗野な男だったからではない。彼らのいる空間そのものに既視感があったからである。

 2008年の夏、ぼくは彼らと同じ北極圏にいた。スウェーデンのストックホルム発アビスコ国立公園のクングスレーデン(王様の散歩道)行きの寝台列車。向かい合わせになった2人掛けのシートが下のベッドに。シートの上の荷物置き場が上のベッドになる4人用のコンパートメント。映画『コンパートメントNo.6』でフィンランド人の彼女とロシア人の彼が乗り合わせたのとシートの色から調度品まで何もかもが同じだった。

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