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老いても忘れたくないことありますか?(藤村公洋)

1年は長いか短いか


さて12月である。

今これを書いているのは11日だから今年もあと3週間足らずで終わり。

人との会話でもラジオのオープニングトークでも「もう12月〇〇日でしょ、いやいや早いですね」というご挨拶が飛び交う季節でございますよ。

とはいえね、これは12月に限ったことではないのですが、「(月日の経つのは)早いですね〜。ほんとあっという間」というタイプの会話が実に苦手なのですよ。

「このあいだ年が明けたと思ったのにもう桜が咲くなんてね〜」

「(6月になると)今年ももう半分終わっちゃった」

といったパターンの会話ね。

どうも上手く交わせない。口籠っちゃう。その理由は単純明快でして、ワタクシにとってはちっとも早いとは思えないのですよ。

1年って、いや1ヶ月だってそうだけど、1週間も、そんなことを言ったら1日だってさ、言うほど早いか??と思うわけですよ。

今まで1年をあっという間と感じたことはほぼなくて、12月になると「おお、待ちわびた12月がようやくやってきた」ってな具合にビリー・ホリデイなどを聴き始めるのが常なのです(ビリー・ホリデイは12月が、特に最終週がいちばん沁みるのだ)。

そんなわけで、僕にとって12ヶ月、365日というのは体感的に“妥当な長さ”で過ぎていき、“然るべきスピード”でいつも終わりを迎えておりまする。

それをね、「いやホント、早いですね〜」とは言えないのですよ。嘘はつけないでしょ。

まあなんというか、大人失格ですね。

そうそう、大人失格といえば社交辞令もこれまた下手なのですよ。

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