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ラストレター、誰に書きますか?(藤村公洋)

コスパのいい慣用句

未来にいる僕らはその意味をすでに知っているため、今回の放送には「ああ、ついに2020年に入ったかー」と感慨深いものがある。

しかしまあ「感慨深い」ってのも便利な言葉でありますな。部下の成長を感慨深く、卒業からもう10年かと感慨深く、息子と酒を飲む日が来たかと感慨深く、人は折に触れて感慨深く遠くに目をやっちゃうものですがね、あれって実は何にも言ってないのと同じでしょ(笑)。ぼんやりしたメッセージだけね。スチャダラアニの「俺って何にも言ってねー」ですよ。アニは自覚してる分ずっと先に行ってますがね。
是か非か、喜か怒か哀か楽か、具体的な言葉にせず感慨深げに遠くへ目をやることで表現の手間が省ける。実に日本語っぽくコスパのいい慣用句でございますよ。英訳できるのかしらと検索したら直訳はないがエモーショナルが近いとのこと。「エモい」じゃん!これまたコスパのいい慣用句である「エモい」を若者が手に入れたのも日本語の伝統かしら。実に感慨深い。

2020年の幕開け

といったことは置いといて、いよいよ2020年の幕開けですよ。あくまでアーカイブの話ではありますが。
今回試聴した「渋谷のラジオの学校」は2020年1月22日放送、岩井俊二監督『ラストレター』での映画メシ企画でございます。もうあと2ヶ月くらいでスタジオでの生放送ができなくなる時期に入るんですなー。

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