老いてこそ必要だと思う異文化交流は?(藤村公洋)
顔の皺の入り方
「ふじむらさん、それサギ師皺っていうんですよ」と言われたのは20代の後半だったかしら。
勤めていたバーで女性のお客さんと笑い皺について話していたときに指摘されたのだ。
一般的に笑い皺というのは目尻から放射状に伸びる数本の皺であり、当時の僕のように下まぶたから斜め下方にスッとひと筋、大槻ケンヂさんの顔のヒビのように入る皺をサギ師皺と呼ぶらしい。彼女に言わせれば日々繰り返される「作り笑い」の量産運動によって発生する皺なんだとか(笑)。
あれから幾星霜。
ここのところ寝起きに鏡を見ると、上まぶたを‘八の字’に左右対称の皺が寄っており、そのせいで顔の印象が(あくまで自分目線ですが)だいぶ違って見える日が多くなってきた。
これはもう完全に老いの症状なんだろうけども、とはいえ、かつて指摘されたサギ師皺(そっちの方はすでにそれ以外の皺が増えて目立たなくなっている)の上まぶたバージョンという線もあり得るんじゃないかな。たとえば皮膚の劣化スピードの違いによって若年性が下まぶたに現れ、追って老年性は忘れたころ上まぶたに顕在化するというね、皺による時間差の輪唱。
いずれにしても同時開催でなかったことは運が良かった。目の上を八の字、目の下も八の字、目ん玉を八で囲ったような顔の人間の話は信憑性に欠ける。というか顔として面白い。警戒心を持たれてサギ師としては失格であろう。
そんなわけで、毎日せっせと上まぶたにニベアを塗り込むのが朝一番のルーティンとなった今日この頃でございます。
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