【新刊情報】9月24日発売『明日、世界がこのままだったら』のご案内。
新刊が出る前というのは、毎度毎度不思議な気持ちになるもんです。なんかこう、自宅のPCでパチパチ叩き続けてきた文章が、本になって、本屋さんにならんで、ネットでも情報が出て、、、と手元からふわっと飛んでいく感じがしましてね。
そういう意味では、今回の新作『明日、世界がこのままだったら』は、巣立っていく感慨もひとしおでございまして。なぜなら、他の作品に比べてずいぶん手のかかった「子供」であったもので、、、!
僕にとって初めての長編連載作品でしたし、昨年から今年前半にかけては映画だなんだでバタバタしまして、結果的に連載終了から二年くらいひっそり眠っていた作品でもあったので、ちゃんと新刊として世に出ていくことがきまってほっとしております。
わーわー言うとりますが、前置きはこの辺にいたしまして、今回書影が出ましたんで、ばばんと発表したいと思います。では、ばばん!
おおう、昼と夜が混在するこの光景は一体、、、?
意味深!
■装丁について
今回、装画を手掛けて下さったのは、LOWRISEさん。非常に光源と雲の使い方が独特でして、(今回の装画は昼と夜ですが、)特に夕景を描いた作品が美しい絵師さんだなあと思います。
著者、書籍編集者、デザイナーという三人のジェットストリームアタック(修正依頼)を受けて何度も描き直してくださいまして、本当にありがたかったです。装画はいつもこだわるんですが、今回特に、みんな気合が入っていたような気がします。
装丁デザインは、テラエンジンの高橋さん。僕の作品ですと、『本日のメニューは。』の装丁も手掛けて下さったデザイナーさんです。『本日~』に関しては装丁のおかげで手に取ってくださった方も多かったですし、今回も素晴らしくヒキのあるデザインに仕上げていただきました。目次とか本編のデザインも作りこんでくださっているので、ぜひ見ていただきたいなあ。
初期段階では、表紙に作中のどの場面を持ってくるか、という話をしていたんですが、作品の舞台となる「狭間の世界」を表紙で端的に表現する、ということで、僕のアイデアなども踏まえていろいろ悩んでいただいた結果、昼と夜が混在するデザインが出来上がりました。
これね、LOWRISEさんにはイラスト二枚描いていただきまして、それをコラージュしてあるんですよね。装丁も手がかかっております。
■かんたんに内容紹介
さてさて、『明日、世界がこのままだったら』でございますけれども、公式の内容紹介は以下の通り。
ここは生と死の「狭間の世界」。
あなたと私、二人だけの。
目覚めると、世界に二人きりとなっていたサチとワタル。二人の部屋はいびつにくっつき、誰もいない街は静まり返っていた。
そして不意に現れた管理人を自称する女に、ここは生と死の「狭間の世界」だと告げられる。二人の肉体は、今まさに死を迎えようとしている、と――。
そのまま「完全なる死」を迎えるはずだった二人だが、奇跡的に現実世界へ戻るチャンスが訪れる。
残酷な選択とともに。
私は、俺は、何のために、誰のために生きるのか。
生きることを真摯に見つめるエモーショナルな長編小説。
と、大変ファンタジックなあらすじになっておりますけれども、作品自体もファンタジーとリアルの「狭間」みたいな作品になっておりますね。
主人公は、サチとワタルという二十代の男女二人。それが、ある日突然、二人以外、住人が存在しない異世界に迷い込んでしまいます。そこは、生と死の「狭間の世界」。まだ若い二人がなぜ生死の境をさまよっているのか、果たして二人は元の世界に戻ることができるのだろうか、、、というお話。
僕の小説って、テンポ命、みたいなところがありまして、長編は特に、後半にテンポが上がる、アッチェレランド&クレッシェンドみたいな作品が多かったんですけれども、今作は比較的テンポがゆっくりめでして、途中の起伏はありますけれども、それでも一定のリズムを刻んで最後まで行ったような感じがしますね。
デビューから今まで、いくつかのお話を書いてきましたけれども、本作はある種その集大成というか、テーマにしてきたものを詰め込んでひとつにしたような小説になったなあ、という気がします。デビュー10年を前に、僕はこういうお話を書くようになりました、という、みなさんへの中間報告のような作品になっておりますね。
その辺のもろもろは、集英社さんの文芸ステーションにてインタビュー記事を掲載していただきましたので、よかったらご覧くださいませ。
ということでございまして、9月24日発売『明日、世界がこのままだったら』、現在予約受付中でございます。ぜひぜひご一読ください。
小説家。2012年「名も無き世界のエンドロール」で第25回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。仙台出身。ちくちくと小説を書いております。■お仕事のご依頼などこちら→ loudspirits-offer@yahoo.co.jp