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読む

読む

おはようございます。今週も書いていきます。

このコロナ禍に、幾度となく、#ブックカバーチャレンジ、の文字を見た。幸か不幸か、僕のもとにそれは回ってこなかったが、横目でそのタグを追いながら、想うことがあったので、記しておきたい。あれ読んでないだろう。

たしかルールは、本のカバーを写真であげて、中身については説明しない、だったと思う。もはや本はファッションであって、インテリジェンスでも、インフォメ

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大伯父

大伯父

おはようございます。きょうも書いていきます。

通夜のおこなわれる会場の、入り口にあるあの装飾を何というのだろうか。メモリアルアートという言葉が浮かぶ。先日、母の伯父、僕にとって大叔父にあたる人が鬼籍に入り、通夜に参列した。

大伯父の通夜では、孫たちの寄せ書きの上に、彼の描いた絵画が、飾られていた。上手いとは言えなかった。建設会社で働き、バブルの頃にはボーナスの入った封筒が、机の上で立ったのだと

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接続的

接続的

おはようございます。きょうも書いていきます。

接続的な文章というのがある。どういうことかというと、たとえば、本文の冒頭にある「おはようございます。」というのは、読む人と書き手を接続する、ひとつの技法である。これは1年前に考えた末、糸井重里さんの文章を真似した。糸井さんの文章は接続的である。読む人がそこにいるという前提で書いている。

ツイッターもそうだ。ツイッターは告知ではなく会話と言われる。広

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増税タイプ別

増税タイプ別

おはようございます。きょうも書いていきます。

先日、増税後そのあと、の話を書いたが、きょうもその類のことを書こうと思う。家の近所に、ランチの行きつけにしている店が数ヶ所あって、各店の対応がちがい、興味深かった。

まず一つ目は正直ストレートタイプ。もとは税抜き価格で提供していたのでそれに8%ではなく10%を足したのが値段になる。やむなし、といった感じもするし、誠実で当たり前という感じもする。つま

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捨てるより留まる

捨てるより留まる

おはようございます。きょうも書いていきます。

何かに影響されて、何かを選び、捨てることもあれば、留まることもある。使っている辞書が使いにくかったので、新しいのに買い換えようと思った。しかし、調べてみると辞書の世界は深く、優劣の差があるのではなく、好みであったり、場面での使い勝手の差があるということを知る。考えてみれば人間では当たり前のようなことを、物に対してはできてないかもしれない。

座ってい

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決まり

決まり

おはようございます。きょうも書いていきます。

僕の生家には名前にまつわる不思議な決まりがある。まず名前は「訓読」でつけて「音読」ではつけない。たとえば、僕の名前は「けい」や「きょう」とは読まない。それは兄弟も同じである。

また、家のなかでも「くん」「さん」「ちゃん」など、敬称が用いられる。なので、小さいうちから今日にいたるまで、呼び捨てにされたことがない。

この決まりを、はじめは仰々しいと感

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キリと善意

キリと善意

おはようございます。きょうも書いていきます。

増税後、はじめて買い物をした。330円というレジの表記をみて、ずいぶん計算がしやすくなったと感じた。これなら小銭も増えなくてすむし、レジの人も楽になるだろう。すでに世間は電子マネー化が進んでおり、小銭の登場する出番は少ないが、さらにその機会が減るのかと考えると、あの募金箱に小銭は貯まるのだろうかと、余計な心配をしてしまう。

思えば、ドンキホーテのレ

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エンジニア

エンジニア

おはようございます。きょうも書いていきます。

「エンジニア」にはじめて会ったのは、20代の後半に転職をした時だった。それまで、新卒の総合職で入った会社しか知らず、その会社にも職能という概念はあったが、まずほとんどみんな一律で、同じ職能からはじまり、そのあと枝わかれになっていく、というような流れだった。そのため「エンジニア」という職能の登場は、当時ことさら強い主張のように感じた。

その強さもあい

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不器用

不器用

おはようございます。きょうも書いていきます。

近頃、不器用なものに回帰している。時計ならG-SHOCK、本なら初代のKindle(もしくは文庫本)、携帯もスマホをやめた。マルチで器用なものに飽きてきたのだ。これしかできませんという方が憎らしく、可愛げがある。

外見を比べてみると、マルチでないものは、マルチなものに比べて不細工である。ゴツゴツしていたり、厚みがあったり、重かったりして、如何にも、

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本当

本当

おはようございます。きょうも書いていきます。

埼玉で痛ましい事件があって、「本当の父親」という言葉がトレンドにあがって、僕は『そして父になる』という映画と、自分のことについて考えた。本当の父親って、なんだろうか。

あのニュースには実際あまり触れたくなくて、途中まで開かないようにしていたのだけれど、「本当の父親」という文字を多く目にするようになって、考えざるをえなくなった。ツイッターでは「本当じ

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繋ぐ

繋ぐ

おはようございます。きょうも書いていきます。

千葉の被災について。まずはじめに言っておくと、今回の台風による千葉の被災状況について、僕は詳しくはない。それは、ニュースやまとめサイトの方が詳しいだろうし、どれだけ甚大なのかということなどは、言及しない。そのうえで、何ができるかという話がしたい。

第一報はTwitterのタイムラインだった。小説家の平野啓一郎さんがツイートしているのを見て、はじめは

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最初の記憶

最初の記憶

おはようございます。きょうも書いていきます。

最初の記憶というのがあります。僕の最初の記憶は、青い色の膝、でした。4歳か6歳かわかりませんが、当時デニムのオーバーオールをよく着ていて、そのときに膝を見たのです。はじめの瞬間は「あ、動いてる」とか、そんな印象だったと思います。

それから段々と、記憶が混ざっていきます。自分で覚えているというより、まわりが覚えていて、それを僕に話してくれるので、僕が

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流れて

流れて

おはようございます。きょうも書いていきます。

ちょっとしたこだわりについて。僕はnoteを書くとき、一部の文字を太文字にしたり、目次をつくったり、箱(あれ何て言うんだろう)の中に入れたりしない。それはなぜかというと、強調で伝えないと伝わらないというのは、スムーズに伝えられる余地がまだある、と思うからだ。会話をしていると、相手が急に大声を出したら、驚いて嫌だろう。そんな気持ちで書いている。

それ

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ためおかげ

ためおかげ

おはようございます。きょうも書いていきます。

次の予定まで時間があったので喫茶店に入った。「お好きな席へどうぞ。」と言われたので、店内を見回し、普段ならひと気の多そうな奥の席が空いていたので、そこへと向かった。座って数秒で気がついた。うしろの席の声がやけに大きい。

盗み聞きをしたのではない。何をしてようとも、耳に入ってくるような声量だったのである。話している内容は、大学の運動部の運営についてだ

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