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【後編】社会人3年目が2年目の研修を作ったよ

前編はこちら↓↓

研修と言う名のアイデアソンを設計した話の後編です。

研修前のEVで聞こえてきた声

プロジェクト設計の最中から「これを研修と呼ぶのはやめよう」という話を人事の方にしていた。
研修と聞くと、スーツ着た知らないおじさんがやって来て強めの口調でひたすら喋るものを想起させる。やたら自由記入欄の多いワークシートや、発注者である人事部を時折チラ見したり…いや、何でも無いです、それも研修おじさんの仕事だ。
とりあえず「研修と聞くと萎えるからやめよう」というのは開催前から握った。

今回のアイデアソンは先述のラジオ枠との兼ね合いもあって2日間で行われた。
1日目(PMのみ):インプット・キーワード発散・収束・プレゼン練習
2日目(ほぼ終日):プレゼン本番・結果発表・ラジオ出演・振り返り

1日目のお昼の時間、スーパーにてコーヒーを買い、オフィスに戻るEVの中で誰かの「この後研修なんですよね・・・ホント面倒。早く終わって欲しい・・・」と話す声が聞こえてきた。
めっちゃわかる…多分逆の立場だったら俺も同じこと言ってる…なんて思いながら「研修おじさんより頑張らなきゃなー」と思った。

テーマ設定と発散ワークの整合性

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そして4チーム総勢18名による仁義なき戦いがスタート。
テーマは「イッツコムのある街に来たくなる、エモいキャッチコピーを考えよう」である。このテーマにおけるポイントは以下2点。

1.イッツコムのある街とはどこを指すのか
2.エモいとは何か

1に関しては「大枠はサービスエリア全体、狭める場合は各々の解釈で構わない」という設定に、材料としてイッツコムのサービスエリアマップと路線図を渡した。2に関しては特に触れていない。うまいこと説明できないからエモいのだ。

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ちなみに神奈川版もある

よく「哲学」と呼ぶが、賢いチームであればあるほど定義付けに時間がかかってしまうことがある。それも一つの経験だが、今回の目的はそこに置いていないので定義付けの無限ループに陥らぬよう声がけをした。
結構深いところまで行った結果、プレゼン作りに遅れたチームがあって「もったいなかったなー」と思うと同時に「どうするのが良かったのかな」という反省をずっと個人的にしております。

今回は社内でのアイデアソンということもあり、チームビルディングに重きを置いためキーワード発散は以下のように進めた。

「イッツコムのある街」からのワード連想

さらに連想

チーム内で交換し、エモかったキーワードにマーキング

エモが集まったワードからポストイットに書き出してイーゼルパッドに貼る、それにつられて出てきたワードも貼り出す。

なんらかの「定義」を作って似た者同士を近い場所に貼る

端的に書くととマンダラートしてます。
何をしたかったというと、「チームカラー」をもとに各要素の定義付けをして欲しかったのである。似た者同士を寄せることによって、チーム内でグッと来ているカテゴリのところにポストイットが集まる。それがチームカラーの基になる。
そしてチームカラーを認識することは自分自身の好みを改めて認識するアプローチに繋がる。
ただし、ここで括り方を固定してしまうとその後アイデアの広がりが狭まるので、その為にあえて「定義」に名前を付けるのは遠慮してもらいました。
(※自ら名前つけてたところは除く、それはそれで全然オッケーです)

自分の見本を見せるときも「括り方を変えればまた違うカラーが見えるんやでー」と括り方を変え、その場で実践した。
具体的には「食べ物」や「地形」などフィジカル寄りな括り方をしていたものを「場所 (駅・路線)」で括り直した。
あくまで「行き詰まったらやってみて」という提案の仕方だったが、有効活用できていたチームもあって良かったと思う(これを推しすぎると混乱を招くので危ない)。

収束開始!

出てきたワードをもとに具体的なキャッチコピーに落とし込んでいく時間である。「どんなターゲットに、どんなシチュエーションで…」みたいなフレームは「これぐらいは気付いてくれるしょー」と思いあえて渡さなかったが、どのチームにも要素の洗い出しをしている人がいて安心した。

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「エモいアイデアを出すためにエモい場所に行く」と颯爽と河川敷に向かうチームもいました。とても良いと思いますが収束ワーク開始5分だぞ、動くの早すぎないか。でも好きだ。

そして収束も後半へ。
本家のNHKディレクソンでも、この時間になるとチームによって進捗や顔色にバラつきが出てくる。
この時点でクリティカルなアイデアが出ているチーム、慎重にターゲット設定をするチーム、悪くないキャッチを思いついてしまったためそれに引っ張られ展開できないチーム、定義で迷っているチームなどなど。

目の前にも全く同じような景色が広がっていた。
みんな大人顔負けだよと嬉しくなった。いや、全員大人なんだけども。

本当に考えることが出来ないと「悩む」ところまで行き着けない。
誰一人として投げ出すことなく真剣に取り組んでくれていて単純に嬉しくなった。
弊社の2年目の方々はフィールドを提供すれば深く思考が出来るとわかったけど、安定したフィールドを他の人に提供できる立場ぐらいになると別のしがらみに囚われるんですよね。今の感覚を忘れずにいたいものです。

キャッチコピーが出来上がりプレゼンの構成を始めるチーム、まだキャッチコピーで悩んでいるチーム、形にはなったけどしっくり来ていないチームと色々あるが、リミットに近付いて行く。

「納期」を取るか「詰める経験」を取るか

18時が1日目のリミットである。
1日目は「翌朝1時間だけ渡すので、それで本番を迎えられるレベルまで仕上げること」という目標を提示していた。

様子を見ていると…うん、プレゼンの完成とかまでは行かないねこれは!
さて、18時以降の扱いをどうしようか。

1・・・18時以降も部屋を解放し、個人判断で残るのをOKにする
2・・・18時で一旦帰すが、その後のことには何も言及しないでおく
3・・・18時で帰し、素材等も回収。翌朝まで何もしないよう釘を刺す

ちなみに特段の事情が無ければ「1」にしていたと思う、本番までに出来ることはなるべく詰めてもらいたいタイプ。
ただし、これはあくまで「研修」なのである。そりゃこのご時世「残業していいよ」とも「サビ残だけど良い?」とも言えないのである。

ということで人事とも相談し「2」で行くことにした。
18時以降のことについてはマジで何も触れてないので、どのチームが何をしたかは知らない。

2日目〜プレゼン本番

1日目の会場は会社の会議室だったが、2日目はラジオ出演のこともありたまプラーザにあるホールにて開催。
どうも近くのスターバックスに集合時間の結構前から3/4チームが陣取っていたらしい、やるじゃん。そして時間通りに来た残りの1チームの感じもすごく好きです。
こういったこと含めチームカラーだと思う。

さて、プレゼン本番である。一応社内のことなのでどのチームがどんなコピーをという記載はしないことにする。知りたかったら俺に直接会った時に聞くか、イッツコムに入社してください。

優勝コピーは

「あるよ、たからもの。」

というもの。決め手は聞き手に情景を掻き立てるプレゼンの巧さと、4チームで唯一解釈を相手に委ねるタイプのコピーだったことによる切り口の斬新さ、そしてイッツコムエリア愛に溢れるメンバーたちのエピソードである。
アイデアソン開始時は口数少なめだった参加者が、一番グッとくるエピソードを披露してくれてアツかった。
でも、その他のチームも想像よりかなり上のアウトプットを出してくれていた。
プロデュース側として純粋に嬉しい。

そして2時間後にラジオ出演ということを伝えると優勝チームの表情が一気に曇った。タダでは終わらせませんぞ。
その他のチームは「限られた時間でいかに同期のラジオ出演を周囲に知らせることができるか」というワークに取り組んだ。SNSを使ったり、社内掲示を使ったり。
人事部のみなさんが主導のワークだったが、これがとても良かったと思う。NHKディレクソンでも、優勝チームのアイデアに他チームが乗っかることができる形を取るとコミュニティが濃くなることがあるが、まさにそれだった。

若いよねー、若いっていいよねー・・・

俺は優勝チームと一緒にラジオ出演に向けた構成を練った。
だって枠が20分あるんだもの、大盤振る舞いしすぎだよう。。。

ちなみにこの時間の間に他チームの方々は全オフィスのTVをジャックすべく関係各所に連絡を入れまくっていた。
社長に電話を入れるか迷っている子がいたので「社長に電話しても多分死なないから大丈夫!」とアドバイスした。

そして時間を迎え、いざ出陣!

そしてラジオ出演!

FM SALUSを放送しているたまプラーザのスタジオは外から観覧できるようガラス張りになっている。

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同期をはじめとした関係者がスタジオを囲み、それにつられて無関係な奥様方が観覧に混ざるという素敵な状況でラジオはスタート。
実はラジオ出演直前にリハをしたのですが、その時よりもすごく上手に話すことが出来ていました。俺は困った時の話振り役と突っ込み役。ガマちゃんとラジオで掛け合いができたのは個人的にも嬉しかった。

スタジオが笑いに包まれる中無事終了!

その後はNHKディレクソンの成り立ち説明と、プロパーで14年目のマネージャー&外様の俺という組み合わせによるsli.doを用いたパネルトークでおしまい。
2日間おつかれさまでした!前編冒頭の写真にここで繋がるわけである。


結局、誰の何の為のアイデアソンだったのか


わかりません!

間違えなく言えるのは、俺にとっては為になることしか無かったです!
でも「誰のために」と聞かれたら参加者さんのためにやりました。

そして一緒にやってて面白かったのは人事部のみなさん。
人事という立場や心優しい方々が揃っていることもあり、最初は順位をつけること、ラジオ出演が 1チームだけになることなど「平等を担保できない」ことに躊躇いを見せていた。
でもこの世の中で仕事をする以上、仕事を得るために勝負は伴うし「戦うこと」が原動力になる社員だっている。そして、戦うことに触れられぬまま会社を辞める若手社員もいた(なんだかそれ見てるのが悲しくてねぇ)。
だからこそ競う経験も絶対必要だと話した結果、好きなようにやらせて頂き「優勝チームと他チームで別の取り組みをする」ところまで許容してくれた。

あと、参加者と仕掛け側の自分の年齢が近いことがうまく作用したアイデアソンだったと感じています。
この移ろい行く世の中、原体験をもとに仕事への感覚というか価値観を共有できるのって、せいぜいプラマイ3歳以内だと思う。分かり合えるけど歳が結構違う人の話って「頭でわかっても心がごねるの」的な。近い年齢で同じ世界を見てる人の話って前提抜きでスッと入ってきますよね、99.99のごとく。

20代のうちに取り組みたいこととして「近い年代の人へ何かを渡す」というものがあった。参加者の方々に、何か少しでも渡すことが出来ていたらアイデアソンを作った意味があったと思います。

参加者の皆さんが書いてくれたアンケートのおかげで、しばらく美味しいお酒が飲めそうです。今回のプロジェクトに関わってくださった皆様に改めて御礼申し上げます。
長くなっちゃったけど、お読み頂きありがとうございました。

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